日本発国際線座席数、4年ぶり100万席突破 23年冬期 LCCのシェア3割に

2024.02.12 00:00

国際線提供座席数が前年同期の3倍に拡大した中部空港(写真提供/中部国際空港会社)

新型コロナの水際対策終了と5類感染症への移行を経て、日本発国際定期旅客便の運航は回復のスピードをさらに早めた。円安も背景に訪日旅行需要は根強く、提供座席数は19年冬期調査以来4年ぶりに100万席の大台を超えた。

 本誌「週刊トラベルジャーナル」が11月初旬に実施した23年冬期航空座席調査で、日本発国際線定期旅客便による1週間当たりの提供座席数は前年同期比113.5%増の101万6500席と倍増した。直近の23年夏期調査時と比べても17万席近く増え、ついに19年冬期以来の100万席超えに達した。

 航空旅行にマイナスの影響を及ぼしているロシアのウクライナ侵攻や中東情勢、福島原発の処理水放出が背景にあると見られる中国企業の一部運休・減便、国内空港における地上スタッフの人手不足といった問題が解決または軽減されていれば、運航便数と提供座席数はさらに増えていたと推測される。それでもすでにコロナ禍前の8割超まで座席数が戻ってきたことになり、今後も順調な回復の継続が期待される。

 運航航空会社数は日系企業を含めて92社となった。22年冬期比で16社増、23年夏期比では5社増えて3桁台も視野に入ってきた。日本路線を一時運休していた会社の乗り入れ再開に加え、新たに日本市場デビューとなったのは韓国のエアロK(RF)とヴァージン・オーストラリア航空(VA)の2社。一方で運休は、エルアル・イスラエル航空(LY)、オーストリア航空(OS)、ウエストジェット(WS)の3社となった。

 ローコストキャリア(LCC)は25社で31万5261席。前年同期比5社増、座席数は134.6%増で、過去最高だった19年夏期の33万5194席に次ぐ記録となった。シェアは31.0%へ高まり、23年夏期の30.6%を上回って過去最高を記録した。

 路線別では、1位アジア線、2位韓国線、3位中国線、4位太平洋線、5位欧州線で23年夏期と同じ。このうち中国線は前年同期比466.7%増と最も高い伸びを示し、2位の韓国線との差は2万8000席程度まで縮んでいる。

 空港別で1位の成田、2位の羽田、4位の福岡も座席数は順調に増えているが、さらに高い伸びを見せたのが3位の関西と5位の中部で、前年同期の3倍近くとなった。また、訪日観光需要が強い新千歳と那覇の大幅な伸びが目立つ。

 国際定期旅客便が発着する空港は27空港となり、23年夏期より5空港が増えた。新たに富山、米子、長崎、宮崎、鹿児島が加わった。

 航空会社別では、23年夏期に引き続き全日空(NH)が1位、日本航空(JL)が2位。韓国勢が座席数を伸ばして大韓航空(KE)は19年夏期以来の3位に急浮上、4位のアシアナ航空(OZ)も23年夏期の6位から順位を上げた。中国線の回復をけん引しているキャセイパシフィック航空(CX)も高い伸びながら、23年夏期の4位から今回は5位にランキングを1つ下げた。

 順位こそ多少の変動はあるものの10位までの顔ぶれは23年夏期と同じ。韓国勢・アジア勢が上位を占めるなか、ユナイテッド航空(UA)は順位を下げながらもトップ10圏内を保っている。

【データ詳細は週刊トラベルジャーナル2月12日号で】
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