23年夏期の日本発航空座席数、前年比4倍超の85万席 発着空港が大幅増

2023.08.21 00:00

関西空港は提供座席数が急速に戻りつつあり、全空港に占めるシェアが20%台に回復(画像提供/関西エアポート)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止へ行われてきた水際対策が4月29日で終了したことを受け、日本発国際定期旅客便の運航は急速に回復した。航空会社数が大幅に増えるとともに、地方空港での運航再開も相次いだ。

 トラベルジャーナルが6月初旬を対象期間として実施した23年夏期航空座席調査で、日本発国際線定期旅客便の提供座席数は前年同期比319.1%増の84万9873席と4倍以上に増えた。水際対策終了で訪日需要が急速に回復してきたことに呼応。22年冬期比でも78.5%増と2倍に近い伸びとなった。19年夏・冬期に過去最高を記録した120万席にはまだ遠く及ばないが、当時の約7割まで戻ったことになる。

 運航航空会社数は87社となり、22年夏期より29社増え、22年冬期比では11社増。このうち新たに日本市場デビューとなったのは香港のローコストキャリア(LCC)であるグレーターベイ航空(HB)、中東のエルアル・イスラエル航空(LY)、マリンドエアからリブランドしたバティックエアー・マレーシア(OD)、カナダのウエストジェット(WS)、韓国のエアプレミア(YP)の5社。一方でロシアの航空会社は運休が続いている。

 87社のうちLCCは21社で計25万9902席。ジェットスター・ジャパン(GK)とピーチ・アビエーション(MM)の日系企業2社も加わって22年夏期より11社増え、座席数は1218.7%増と極めて大きな伸びを示した。22年冬期比でも1社増、座席数は93.4%増と倍増した。シェアは過去最高の30.6%で、初めて30%台に達した。

 路線別でトップは引き続きアジア線だが、2位は韓国線で、22年冬期調査時に4位から浮上した順位をキープ。3位は中国線で1つランクを上げた。中国線の座席数は15万4177席で22年夏期調査時の18.4倍となり、路線別の中で最も高い伸びを示した。この結果、太平洋線は22年冬期調査時の3位から4位に後退。欧州線は5位を維持した。

 国際定期旅客便が発着する空港は22空港を数え、22年冬期調査時の7空港から一挙に15空港も増えた。1位は引き続き成田空港だが、羽田空港をはじめとする他の空港での提供座席数の増加により、シェアは相対的に減少。22年冬期調査時の40.8%から今期は33.8%に7.0ポイントも下がった。一方、羽田は25.6%と22年冬期調査時並みを保ち、成田との差が縮まった。関西空港は22.1%となり、20%台に乗せた。

 航空会社別では、全日空(NH)が1位、日本航空(JL)が2位となり、20年冬期から続いていた1位と2位が入れ替わった。3位はチェジュ航空(7C)が22年冬期時の順位をキープ。4位には座席数を大幅に伸ばしたキャセイパシフィック航空(CX)が15位から大きくランクアップし、トップ10内に返り咲いた。5位はチャイナエアライン(CI)で7位から上昇。6位のアシアナ航空(OZ)もトップ10圏外の13位からの返り咲き。7位はユナイテッド航空(UA)で4位から後退。以下、エバー航空(BR)、大韓航空(KE)、ジンエアー(LJ)が続き、アジア・韓国勢が上位を占める構図は変わらない。

【データ詳細は週刊トラベルジャーナル8月21・28日合併号で】

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