22年冬期の日本発航空座席数、一挙に47万席 水際対策緩和で地方空港にもにぎわい

2023.02.13 00:00

定期便の運航が再開した新千歳空港(写真提供/北海道エアポート)

新型コロナウイルスをめぐる水際対策が日本でもようやく10月から緩和されたことを受けて、日本発国際定期旅客便の運航は22年冬期スケジュールから回復が急速に進んだ。運休が続いていた地方空港にも、にぎわいが戻りつつある。

 本誌が11月初旬に実施した22年冬期の航空座席調査で、日本発定期旅客便による提供座席数は前年同期比240.1%増の47万5387席となった。水際対策の緩和を契機に増便や就航が相次ぎ、総数は22年夏期調査時の2.3倍、21年冬期調査時の3.4倍まで回復が進んだことになる。ただし、19年夏期と冬期時の120万席台にはまだ遠い。

 運航航空会社数は日系企業を含めて75社(自社機材での運航はなくコードシェアのみを含めると76社)。直近の22年夏期より18社も増えたことになる。このうち新たに日本市場デビューを果たしたのは、アリタリア-イタリア航空の後継に当たるITAエアウェイズ(AZ)、ローコストキャリア(LCC)のタイ・エアアジア(FD)とタイ・ベトジェットエア(VZ)、韓国のフライカンウォン(4V)の4社。一方でオーストリア航空(OS)は冬期運休となった。

 75社のうちLCCは20社で計13万4369席。22年夏期より10社多く座席数は581.8%増、前年同期比では13社増・1832.8%増と急増した。シェアは過去最高の28.3%で3割に迫る勢い。

 路線別でトップは引き続きアジア線だが、2位は韓国線が大幅な伸びで22年夏期の4位から浮上。チェジュ航空(7C)やジンエアー(LJ)の大幅増便など積極的な展開が順位を押し上げた。これにより、太平洋線は21年夏期から続いていた2位から3位に後退した。同様に3位を維持していた欧州線は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあり、他の路線に比べると小幅な伸びで5位となった。代わって4位には22年夏期で6位だった中国線が順位を上げた。中国本土で厳しいゼロコロナ政策が続けられるなか、キャセイパシフィック航空(CX)の大幅増便や香港エクスプレス(UO)の日本乗り入れ再開など、香港線の回復に支えられている。

 空港別で1位は依然として成田空港。しかし、全体に占めるシェアは21年夏期から続いていた50%台から40.7%に減少した。羽田が25.8%、関西が17.8%までシェアを上げ、中部や福岡も座席数が大幅な伸びを示したことが影響している。また、新千歳と那覇は19年冬期以来、定期旅客便が戻ってきた。今調査時で新千歳は韓国・台湾・シンガポール線、那覇では台湾・香港線が運航されている。

 航空会社別では、日本航空(JL)の1位、全日空(NH)の2位は20年冬期から変わらないが、3位にはチェジュ航空がこれまでのトップ10圏外から大きく順位を上げてランクイン。4位のユナイテッド航空(UA)、5位のシンガポール航空(SQ)は僅差ながら、21年夏期~22年夏期と順位が逆転した。以下、6位エアプサン(BX)、7位チャイナエアライン(CI )、8位ジンエアー(LJ )、9位タイ国際航空(TG)、10位エバー航空(BR)と、アジア・韓国勢が上位を占め、海外との往来の回復に際し、近距離路線の回復が顕著となった。

【データ詳細は週刊トラベルジャーナル2月13日号で

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