20年夏期日本発航空座席、運休相次ぎわずか4万席に

2020.08.31 00:00

閑散とした成田空港の出発ロビー

世界を未曽有の事態に陥れたコロナ禍のさなかにトラベルジャーナルが実施した2020年夏期の日本発航空座席調査で、国際線定期旅客便の1週間当たりの提供座席数はわずか4万席余りにとどまった。その後、徐々に回復傾向にはあるものの、19年夏期・冬期に記録したような120万席台のボリュームには程遠い状況にある。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、世界の多くの国・地域が他国との人の移動を厳しく制限。それに伴い、国際線定期旅客便の運航も激減し、方面によっては皆無となった。そのため、トラベルジャーナルが例年6月初旬に実施している日本発夏期航空座席調査での週間提供座席数は4万2557席にとどまり、前年同期に比べ96.6%減少した。通常時であれば1社でも提供可能な座席数でもある。

 今調査対象期間の乗り入れ航空会社数は日系企業を含めて30社(自社機材での運航のないコードシェアのみの会社を含めると35社)。最近の調査では100社近くを数えていたため、その3分の1以下の規模に減少したことになる。また、今回、日本路線を運休した航空会社の中には、自国から多方面にわたる運航休止を余儀なくされた結果、経営破綻の状況に追い込まれた会社も少なからずあり、このまま日本市場から姿を消すといった事態も懸念される。

 日系企業も大きな影響を受けているが、たとえば国際線への新規就航会社では、スカイマーク(BC)が19年11月29日から運航を開始したばかりの唯一の国際定期便となる成田/サイパン線で3月26日からの運休を余儀なくされた。また、日本航空(JL)グループのLCC(ローコストキャリア)として旗揚げし注目されたジップエア・トーキョー(ZG)は、5月14日から計画していた成田/バンコク線の運航開始を延期し、6月3日から貨物専用便として就航するという想定外の形態でのスタートとなった。

 路線別では、トップが太平洋線、それに僅差でアジア線、以下、欧州(ノンストップ)線、韓国線、中国線などが続いた。近年はアジア線、中国線、韓国線が不動のトップ3で、この3方面だけで80%近いシェアを占めていたが、今回は中国線と韓国線がともに前年同期比1%台の提供座席数にとどまり、シェアを大きく落とした。このことは同時に、中国線、韓国線などでシェアが高かったLCC の会社数、提供座席数の激減にもつながっている。

 空港別で調査対象期間中に運航があったのは、成田、羽田、関西、福岡のわずか4空港にとどまった。これまでは少なからぬボリュームを保ってきた中部、新千歳、那覇がゼロになったのをはじめとして、地方空港からの国際定期便の運航は途絶えた。

 なお、今夏期調査では、本来なら3月29日からの羽田空港国際線の大幅増枠がどのような影響をもたらすのかが注目されたところ。しかし、コロナ禍により、予定されていた羽田への新規就航・増便等はほとんどが見送られたことから、今調査のタイミングではその影響を見ることはできない。

 航空会社別のランキングは、1位の全日空(NH)、2位の日本航空(JL)とも座席数を大きく減少させながらも順位は変わらないが、3位以下の顔触れはこれまでとは大きく変わった。運航がほとんどなくなった中国系の航空会社が順位を下げた一方、相対的に北米系、欧州系の航空会社の名前が目に付く形となっている。