添乗員平均年齢、10年で10歳上昇 人口も減少止まらず 待遇改善が喫緊の課題

2024.04.15 00:00

 添乗員の高齢化が進んでいる。日本添乗サービス協会(TCSA)が実施した調査によると、加盟会社に所属する添乗員の平均年齢は23年11月現在で51.6歳となり、10年前に比べて9.6歳も上昇した。5年前の18年比でも5.1歳高い。もともと緩やかに上昇していたが、労働条件の悪さが若い人材の就業や定着を阻んでいる。

 23年の添乗員数は6675人。ピークは08年の1万1071人で10年以降は9000人台で推移していたが、コロナ禍の20年を境に一気に減少が進んだ。移動制限があったコロナ禍で仕事がゼロとなり、他業界に派遣された人材が戻ってきていないことも影響した。

 旅行業界特有の事情として、特に海外旅行は繁閑差が大きく、オフシーズンになると添乗業務が減り、年間で安定した収入を得づらい。派遣元企業は固定給を支払う体力に乏しいところが少なくない。社会保険の適用拡大による負担増など課題も抱えている。

 時間外労働の上限規制も足かせだ。三橋滋子副会長は「これまではヨーロッパツアーの添乗を月2本行っていたところ、1本しか行けないというケースも考えられる。時給は間違いなく上がっているはずだが、総収入は減っているのではいか」と指摘。「採用のための労働条件を整えていかないと」と訴える。

 金澤悟会長は「最大の課題は待遇改善」とし、関係各所の理解醸成や機運づくりに向け、コロナ禍で中断している「添乗サービスを持続的に提供するための検討会」の再開を観光庁等に要望する考えだ。一方で、「海外旅行全盛期の頃のように添乗だけで収入を得られた時代はもう戻ってこないのではないか。添乗以外の時間をどう使うか、働き方改革が必要になる」とも見ている。