観光立国推進基本計画、人数から質重視に転換へ 新目標案に持続可能な観光地域数

2023.02.20 00:00

 観光庁は25年までの3年間の観光立国推進基本計画の素案を公表し、新たな目標に「持続可能な観光地域づくりに取り組む地域数」を盛り込んだ。人数を追ってきた従来の方針から転換し、質の向上を重視する指標を中心に設定する。訪日外国人旅行は消費額5兆円の早期達成に向け、単価を19年比約25%増の20万円へ引き上げることを新たな指標とする。訪日旅行者数は「19年水準超え」とするにとどめ、人数に依存しない姿勢を示した。

 将来にわたる経済、社会、環境への影響を十分に考慮する持続可能な観光はグローバルな誘致競争の要諦となっており、観光立国復活への基軸とする。住んでよし、訪れてよしに加え、持続的に稼げる地域づくりが重要とし、地方への旅行者誘致と消費拡大を図る。

 日本版持続可能な観光ガイドラインに沿って取り組む地域を12地域から100地域に増やす。そのうち50地域で国際認証・表彰を目指す。

 前基本計画の目標のうち、訪日外国人旅行者数は19年に3188万人となり、20年目標の約8割に達したが、消費額と地方部の宿泊者数は約6割にとどまった。新指標として地方での宿泊数を1人1.5泊と設定(19年1.35泊)。滞在拡大につながるコンテンツの充実や富裕層誘致を進める。5兆円の達成には、一例として、2800万人が18万円消費すれば実現することになる。

 一方、日本人の旅行は、海外旅行者数で19年(2008万人)超えを目指す。国際感覚の醸成や訪日旅行との相乗効果から若年層の旅行や留学を促す。国内旅行はコロナ禍でも経済を下支えした強靭さから重要とし、地方の延べ宿泊者数で約5%増の3.2億人泊とした。

 27日までのパブリックコメントを踏まえ、3月中に定める。

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