持続可能な観光地、箱根が部門別世界1位 車椅子の旅に高評価 日本から2年連続トップ

2024.03.18 00:00

箱根のマップは車椅子旅行に必要な情報を集約

 観光地の国際認証団体グリーン・デスティネーションズ(本部:オランダ)が実施した23年版「世界の持続可能な観光地TOP100選」の最終審査で、神奈川県箱根町が「ビジネスとマーケティング部門」の1位に選ばれた。従来の観光の枠組みを超え、福祉サイドと協力したユニバーサルツーリズムが評価された。前年には愛媛県大洲市が「文化と伝統部門」で1位を受賞しており、日本の自治体が2年連続でトップの栄冠を得たことになる。

 箱根町が高い評価を受けたのは、22年度から行う「車いすで巡る箱根旅観光MAP」の取り組み。箱根DMO(箱根町観光協会)が社会福祉協議会の協力を得て、誰にでも優しい観光地を目指して冊子を制作した。車椅子利用者と一緒に現地を巡り、その結果を基に2次交通と自家用車それぞれで巡るモデルコースを写真付きで紹介している。箱根町は22年にもガイド人材育成で100選に入り、2年連続での受賞。

 文化と伝統部門では3位に京都府宮津市が選ばれた。いにしえの技「藤織り」の伝承をテーマに、古代布として知られる藤織りの技術や保存会の活動などのストーリーが高い評価を得た。

 グリーン・デスティネーションズは、持続可能な観光の国際基準を設定するGSTC(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会)が認定した認証機関。毎年、一定の基準を満たした100地域を選ぶ。1次審査を通過した地域は2次審査で観光の課題に対する解決策の優良事例を提出し、有識者が評価する。

 23年は最終審査で上位にノミネートされた箱根町と宮津市のほか、北海道弟子屈町、岩手県釜石市、長野県小布施町、香川県丸亀市、愛媛県大洲市、徳島県三好市、熊本県小国町、鹿児島県与論町が100選に選ばれた。

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