訪日客の農泊促進へ重点28地域 農水省、受け入れ体制整備を優先支援

2024.03.18 00:00

 農林水産省は、農泊地域への訪日外国人旅行者のさらなる受け入れ促進に向けた重点地域として28地域を選定した。観光庁や日本政府観光局(JNTO)などとも連携しながら、農山漁村振興交付金で受け入れ体制整備を優先的に支援する。海外向けプロモーションとして海外旅行会社等との商談会やモニターツアーなども設定する。

 全国621の農泊地域のうち、公募に名乗りを上げた55地域の中から選定した。埼玉県、三重県、奈良県などでは複数地域が選ばれた一方、北海道や沖縄県などからは応募がなく選べなかったこともあり、4月以降に2次公募を予定している。先行する28地域と合わせて40地域程度を選び、24~25年度の2年間をかけて重点的に支援する。

 農水省は現在、農泊推進実行計画に取り組んでいる。25年度までに農泊地域での年間延べ宿泊者数を700万人泊とすること、その宿泊者数に占める訪日外国人旅行者を10%に向上させることの2つを目標に掲げる。

 農泊地域への宿泊者数は22年度に610.8万人を数え、ピークの19年度をすでに上回るが、これをさらに増やす。一方、外国人旅行者の割合は22年度で約2.5%にとどまり、これを伸ばしていく。農山漁村への誘客と消費を促し、地域の活性化と所得向上を目指す。

 農水省の主催で3月4日に開催された農泊推進研究会で登壇した百戦錬磨の大野彰則取締役は、同社が実施した23年度版の農泊旅行に関するインターネットでの消費動向調査の結果を発表。農泊の旅行消費額は約1.2兆円(国内旅行全体の6%程度)、延べ旅行者数は約3000万人(同7%)のポテンシャルがあると見込まれ、農泊地域での年間宿泊者数700万人泊は実現可能な数字と捉えているなどと話した。

【あわせて読みたい】農村振興の交付金3割増要求 農水省24年度予算 農泊の施設整備など