DMOの観光DX 司令塔に注がれる期待と厳しさ

2023.03.13 00:00

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DMO(観光地域づくり法人)のDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する周囲の関心が一段と高まっている。コロナ禍からの観光産業の再興に向け、地域の司令塔によるデータに基づく戦略が欠かせないと考えられるからだ。政府はデジタル化戦略を策定するDMOの数を重点指標に定める方針を打ち出した。

 地域の司令塔であるDMOに注がれる視線が期待とともに厳しさを増している。コロナ禍で大きく変化した社会情勢を踏まえて地方創生の加速と深化を目指すため、岸田内閣が昨年12月に閣議決定したデジタル田園都市国家構想総合戦略では、観光を地方経済を支える重要な産業とあらためて位置付けた。同時に、より一層の観光振興を図るためには、旅行者の周遊促進や需要喚起、観光産業の生産性向上、観光地域経営の高度化が求められ、DMOが観光DXを推進しなくてはならないと指摘。「DMOを中心に地域の多様な関係者を巻き込み、デジタル実装を促進し、効率的・効果的なデータ分析やニーズの把握に基づく戦略策定を行い、地域の魅力のブランド化と稼ぐ地域の実現を図る」としている。

 例えば周遊促進や需要喚起については、デジタルツール等を活用しつつ新たな旅のスタイルの普及によって交流市場を開拓する。加えて宿泊客の顧客管理のデジタル化だけでなく、交通・商業・公共など他分野を含めた事業者間・地域間のデータ連携環境を整備するとともに、シームレスに予約・決済が可能な地域サイトを構築し、なおかつタイムリーなレコメンド等で周遊促進を図るとした。また生産性向上については、地域全体で予約・販売などのデータ共有を進め、レベニューマネジメント等のデータ連携の強化によって広域での収益最大化を図り、生産性を向上することを盛り込んだ。

 これらを実現するために総合戦略で観光分野の目標として掲げたのが、旅行者の来訪状況、属性、消費額等のデータに基づいて策定されたDX戦略を有する登録DMOを27年度末までに90団体とするというものだった。

なかなか進まない現状

 しかし、観光DXの推進について「容易には進まない背景が存在している」と厳しく指摘するのは経済同友会だ。DMOを対象に観光DXに関する意識調査を実施し、その結果も踏まえて1月にまとめた提言の中で課題に言及した。アンケート調査では、DX推進を阻む要因として、「観光事業者の協力体制や意識改革を進めることが難しい」(37%)との回答が人材や資金の問題以外で最大となったことから、「事業者が自社の利益を優先するなかでデータ連携などで同業者と協力し、地域で連携していく意識が希薄」だとした。

 また、DXに対する理解不足も深刻だと指摘する。観光事業者の課題として「DXを理解することが難しい」との回答が46%に上ったことを挙げ、「そもそも業務自体がデジタル化されておらず、デジタル化やDXの意味についても理解されていないことが多い」と分析している。

 さらに本来は観光DX推進の旗振り役であるべきDMOの自覚不足も指摘されている。DXの推進主体についてDMOに尋ねた質問では、国、自治体、DMOだとする回答が約25%ずつでほぼ同数。経済同友会は「DMOが観光DXの旗振り役であるという自覚が薄く、各団体の役割も不明確」と切り捨てた。

【続きは週刊トラベルジャーナル23年3月13日号で】

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