観光庁予算の考察 産業本格回復への使途

2023.02.13 00:00

(C)iStock.com/ma-no

観光庁の23年度予算は前年度比4割増の307億円となった。コロナ禍の最悪期を脱し、観光需要の本格回復への期待が高まるなか、観光産業の再興へ向けてどのような予算が組まれているのか。その構成と事業内容を詳報する。

 政府が昨年12月に閣議決定した23年度の観光庁予算は前年度から38.0%増の307億300万円となった。財源の一部となる国際観光旅客税は、宮内庁が行う三の丸尚蔵館の整備費用の2億6900万円を差し引いた197億3100万円となり、これと一般予算の109億7200万円を合わせて財源とする。出国者数の予測に基づく国際観光旅客税は概算要求時から約70億円下振れたしものの、前年度の2.4倍の確保を前提として組み立てた。

 さらに昨年12月の臨時国会で成立した22年度第2次補正予算で、観光庁関連予算として1500億円が計上されており、これを合わせて観光産業の再興を急ぐ。23年度事業の一部には、当初予算だけでなく補正予算も活用する。

 今回の予算規模を新型コロナウイルスが流行する前に組まれた20年度と比較してみる。20年度は国際観光旅客税の充当分が500億円を超え、当初予算は680億円余りに達していた。それに比ベれば国際観光旅客税収が300億円も減るにもかかわらず、23年度当初予算と22年度第2次補正予算を合わせた規模は1800億円に達する。20年度当初予算と19年度補正予算の合計額(約730億円)の2.5倍以上に相当し、観光産業の再興を重視する国の姿勢が反映されていると考えられる。

 復興枠として、東日本大震災からの復興支援事業予算は前年度と同額(7億6900万円)となった。

反転攻勢の基盤づくりに131億円

 23年度予算で観光庁が掲げたのは、「観光立国復活に向けた基盤の強化」(130億9400万円)と「インバウンド回復に向けた戦略的取り組み」(170億5700万円)の2本柱だ。

 基盤の強化では、まずコロナ禍を経て生まれた新たな観光需要や潮流を捉えるため、「新たな交流市場の創出事業」(6億4900万円)を展開する。具体的には、観光地訪問を何度もリピートしてお気に入りの地域に通う旅行者を増やすため、第2のふるさとづくりを実現する仕掛けのモデル実証を行う。このほか、新たな観光資源となるレガシー形成の可能性を調査する。また高齢化が進み障害のある人口の増加が予想されることもあり、バリアフリー認定制度の周知促進、バリアフリー施設の情報発信強化などを図る「ユニバーサルツーリズム促進事業」(3000万円)を実施する。

 コロナ禍からの復活に欠かせない地域の魅力向上と持続可能な観光地域づくりも進める。人気観光地以外の地域へ観光客を誘客するための取り組みを支援する「広域周遊観光促進のための観光地域支援事業等」(7億6300万円)を展開し、DMOが中心となり地域が一体となって行う戦略策定や滞在コンテンツの充実、受け入れ環境整備などを総合的に支援する。特に観光庁が選定する先駆的DMOの支援を強化する方針だ。

 また、旅の大きな楽しみである食の魅力を地域でも発揮できるよう、「地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業」(5600万円)を新規事業として盛り込んだ。特に地域の核と目する宿泊業では、ガストロノミーなど食を売りとして滞在の価値を高めている事業者がまだ少ない。地域の食材を有効活用できていない事業者も一定数あり、どこに行っても同じ料理が提供されるといった課題がある。支援策の一例として、一流シェフを派遣して地域食材を生かしたメニュー開発を挙げた。

 「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりの支援」にも力を入れる。日本国内での消費額が100万円を超える旅行者を地方へ誘導するため、モデル観光地を10カ所程度選定し、総合的な施策を集中的に実施。専門人材の育成やコンテンツ造成を支援する。すでに60地域が立候補しており、3月末までに対象地を決める。予算は当初予算の1億円に加えて補正予算から約6億円を割く。

【続きは週刊トラベルジャーナル23年2月13日号で】

関連キーワード