国内産業の再飛躍へ長期戦略を 経団連が提言 観光と食も対象候補に
2024.05.06 00:00
経団連は国内産業の再飛躍を図るため、40年までの長期戦略に基づく産業基盤強化を求める提言をまとめた。失われた30年ともいわれる長期低迷を続けた日本経済は、物価と賃金が上昇し始めるなど再飛躍を果たす千載一遇のチャンスを迎えている。提言では、強い産業をエンジンに官民で長期的な産業戦略を共有し、積極的な投資を促すべきと訴える。その勝ち筋として期待できる戦略分野に、AI(人工知能)・ロボットや半導体などとともに「観光・食」を挙げた。
観光・食は日本の重要なソフトパワーで成長分野だと見る。世界経済フォーラムがまとめた21年の旅行・観光開発指数で日本は世界1位を獲得するなど潜在力は大きく、世界的な日本食ブームも追い風に、付加価値をさらに高める戦略が求められるとしている。
なかでも観光については、観光地域経営の推進に向けたDMO(観光地域づくり法人)の活性化、需要の拡大と平準化、多様な地域のインバウンド効果の拡大、持続可能でレジリエントな地域づくりへの貢献、MICE 誘致・開催の拡大、観光DX の推進等に取り組むべきだと指摘した。
法制度・規制の徹底的な見直しやデジタルの導入促進、エネルギーの安定供給など産業基盤強化を具体的に進めるため、産業全体を見据えた長期的かつ統合的な「産業戦略2040(仮称)」を策定するよう国に求めている。
現在の政策は、各分野の短中期的な戦略や計画となっている。しかし、さまざまな課題が複雑に絡み合う時代において、特定の産業分野や省庁の所管ごとに個別に対応しているようでは真の課題解決を図ることは困難と指摘。全体最適の視点による統合的な長期戦略が不可欠だとしている。
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