戦略修正で旅行成約率20%に 海外旅行の「こころから」 行き場のない消費者に対応

2024.03.18 00:00

「経験が少ない人を動かしていかないと」と有川氏

 どんなことでもLINEで相談できる海外旅行予約サービス「こころから」が集客を伸ばしている。運営するHotspringはもともと、「スボラ旅byこころから」のブランド名で旅行業に参入し、漠然とした要望だけで旅行を提案するモデルを展開してきた。だが、成約率の低さから戦略を見直し、不安に寄り添うサポートを前面に打ち出したところ、成約率は20%に改善。背景には、消費者が気軽に相談できる場が減っているという社会的事情がある。

 同社で予約する人に対し、LINEでの相談を無料で受け付け、つぶさに対応する。以前は相談だけに終始する人が大多数だった。サービスの根幹は残しつつ、やり方を変えただけだが、口コミで利用者が増え、海外旅行取扱額は月平均で億円台に乗せた。

 有川鴻哉代表取締役CEOは「サイトで検索しても商品選びに困ったり、店舗で相談しようにも数が減り、旅行を諦めてしまっていた人が多い。予約サービスは進化する一方で、客側が取り残されている」と語る。そうした需要を拾い上げ、現在は4~5人に1人が成約に至る。相談に大きなリソースを割いても元が取れるまでになってきた。

 顧客は20代前半と50代以上が二分する。海外旅行経験が浅く、パスポートを持たない人もいる。相談の多くは不安に由来するものが多く、コロナ禍から情報が更新されていないと感じる。

 どんな理由でも旅行当日までキャンセル料を全額免除するオプションも奏功した。未加入者に比べキャンセル率が低く、収入面でも貢献する。

 取り扱いが伸びているのは家族旅行などで相談が多いグアムと香港。有川CEOは「方面によっては日本人渡航者数の2%のシェアを取れている」とし、拡大に意欲を見せている。

【あわせて読みたい】日本人のパスポート保有率、23年は横ばいの17% 再取得の予想に反し 女性の取得割合増加 エクスペディア、海外旅行の回復促進へ大々的訴求 マルチチャネルで背中押す