23年度観光庁予算、38%増の307億円 訪日市場回復へ誘致に本腰

2023.01.16 00:00

 政府が閣議決定した23年度の観光庁予算案は前年度比38.0%増の307億300万円となった。このうち国際観光旅客税に基づく財源が197億3100万円。概算要求を約70億円下回ったが、前年度の2.4倍を確保する。観光立国復活に向けた基盤強化(14.6%増の130億9400万円)、インバウンド回復に向けた戦略的取り組み(67.2%増の170億5700万円)が施策の2大柱。

 基盤強化では、市場開拓や観光地の魅力づくり、観光産業の足腰の強化を狙う。新規事業に「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり」(1億円)を盛り込んだ。100万円以上を消費する旅行者を呼び込むため、モデル観光地を10カ所程度選び、体制や戦略の構築などを総合的に支援する。世界的に関心が高まっている持続可能な観光を実感できるコンテンツの造成など、「新たなインバウンド層の誘致のためのコンテンツ強化等」(131.1%増の1億7100万円)にも力を入れる。

 これらのほか、世界に誇る観光地を形成するためのDMO体制整備、ポストコロナを見据えた受け入れ環境整備促進などには、1500億円が付いた22年度第2次補正予算も用いる。例えば高付加価値な観光地づくりは計7億円など、大幅な積み上げが図られる。

 基盤強化のうち予算額で最大となったのは、文化資源を活用したインバウンドのための環境整備(81.4%増の40億円)。文化庁に配分し、大阪・関西万博に向けて体験型プログラムの創出などに取り組む。

 インバウンド回復では、予算の過半数に上る123億5600万円を戦略的な訪日プロモーションに投じる。前年度の倍増。航空会社や旅行会社との共同広告を通じて訪日を促し、全国各地での特別な体験も発信する。