クルーズ市場、船社撤退も販売増へ機運高まる ジャパネットはチャーター追加も

2022.12.12 00:00

MSCベリッシマを8本チャーターするジャパネット。すでにキャンセル待ちが多く、追加設定を検討

 クルーズを取り巻く動向が目まぐるしい。コロナ禍で長らく途絶えていた国際クルーズが動き出そうとしているなか、コスタクルーズがアジア市場から撤退する。一大市場の中国など東アジアでの本格的な運航再開が不透明と判断。日本支社の閉鎖も決めた。事業撤退は、23年1月を最後とする日本クルーズ客船もしかり。その一方で、商船三井による新造船建造や旅行会社のチャーター計画など、需要拡大を見越した動きも活発になっている。

 コロナ禍前の勢いにも増して、チャータークルーズを仕掛けているのがジャパネットサービスイノベーションだ。乗客定員5655人の「MSCベリッシマ」を全船貸し切り、10日間の横浜発着クルーズをすでに計8本チャーターして販売している。特に8月以降の人気が高く、キャンセル待ちの状況だ。

 ジャパネットによると、客層はこれまでと同様にクルーズ初心者が大半。為替の影響もあり、価格を若干引き上げたにもかかわらず、販売は好調だといい、追加設定も見込んでいる。

 クルーズはシニアを中心とするファン層に支えられてきたが、ロイヤル・カリビアン・インターナショナルも初心者の予約に手応えを得ている。公式日本語サイトの予約数に占める割合は19年の3割未満から現在は半数近くに増え、市場回復に貢献している。

 外国船によるクルーズは23年3月以降、166本が計画されている。日本発着クルーズの主要寄港先である韓国が10月に外国船の受け入れを再開したことで実現へ大きく前進。国内の寄港地もガイドラインに沿った受け入れ体制の整備が進む。ただ、コロナ禍の爪痕は大きい。地方では廃業や人材の流出などが深刻で、バスやガイドの不足など課題を残している。

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