訪日旅行回復へ省庁の施策総動員 特別な体験の提供など柱 早期に消費5兆円超へ

2022.11.07 00:00

 政府は訪日旅行市場の本格的な回復に向け、関係省庁の施策を総動員して集中的な政策パッケージを実施する。10月28日に閣議決定した総合経済対策の中に盛り込んだ。円安のメリットを生かし、訪日旅行消費額5兆円超の速やかな達成を目指す。文化財を活用した特別な体験の提供や大型イベントを契機に全国への誘客を促す仕掛けを講じ、全世界に戦略的に発信する。

 観光庁は政策パッケージで掲げられた4つの柱を観光再始動事業として包括的に行う。特別な体験の提供では、例えば23年に計画されている姫路城の天守等の限定公開や弘法大師座像の限定公開など、集客性があり訪日客に響くコンテンツを想定する。文化財を管理する自治体が計画している事業も含まれ、「より効果的に行うための支援や提案を行う。観光庁が自ら掘り起こすコンテンツもある」(観光戦略課)。

 他省庁の施策では、文化庁の日本博2.0、国税庁の酒蔵ツーリズムなどを盛り込んだ。文化庁は「日本博」として東京五輪の前後に日本文化を発信してきたが、これを発展させ、大阪・関西万博の25年に向けて継続する。伝統芸能や舞台芸術、音楽、アートなどから厳選し、最高峰の文化芸術を結集したフェスティバルなどを開催する。

 大自然の魅力を生かした新たな体験の提供も柱の1つ。アドベンチャーツーリズムなど新たなコンテンツを推進するほか、すでに着手している国立公園等の取り組みでは、夜間観光の促進などもう一段階踏み込むとした。

 また、イベントを契機として全国各地に誘客する。スポーツイベントでは、例えば23年7月に水泳の世界選手権が福岡市で予定されるが、大会のみで終わらせず、周遊などを促していくこととしている。

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