気候変動への対応、「教育」が鍵 観光大臣会合 小規模事業者の支援も

2022.10.03 00:00

国際組織や各国の代表が一堂に会し、気候変動への対応について考えを共有

 東京で9月22日に開催されたツーリズムEXPOジャパンの観光大臣会合に7カ国と4つの国際組織の代表者が出席し、「観光による気候変動への挑戦」をテーマに議論を交わした。コロナ禍後の新たな観光について語られるなか、教育がキーワードとして浮かび上がった。

 昨年11月の国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で「観光分野の気候変動対策に関する宣言(グラスゴー宣言)」が採択され、二酸化炭素(CO2)排出量を30年までに半減させることが公約となった。国連世界観光機関(UNWTO)のイオン・ビルク本部長はこうした動きを踏まえ、「活動を見直し、より野心的に取り組む必要がある」と連携を求めた。

 実現に向け、各国・組織が異口同音に強調したのが教育の重要性だ。太平洋アジア観光協会(PATA)のベンジャミン・リャオ理事は、「旅行者とコミュニティーの意識を上げることが大切」と指摘。アドベンチャートラベル・トレード・アソシエーション(ATTA)のシャノン・ストーウェルCEO は、旅行への懸念事項で気候変動が最下位となった調査結果を引き合いに「非常に衝撃だ」と危機感をあらわにした。

 レジリエンス(強靭)な観光の観点から、小規模な事業者や国への支援にも議論が及んだ。脱炭素化には施設整備などに元手がかかるため、「税控除などの支援が必要」(シャノンCEO)とする。また、ジャマイカのエドモンド・バートレット観光大臣は、「大規模災害からの回復や防災・減災のためにも教育は重要で、そのための資金が必要」と指摘。カリブ海やインド洋など観光産業に依存する中小の国々への支援策として、グローバルな基金の設立を提案した。

【あわせて読みたい】ツーリズムのグラスゴー宣言 気候変動対策が本格始動 航空の脱炭素化いよいよ始動 クリーンな空の旅へ国の基本方針策定