ワクチン接種開始で新サービス、旅行会社やバス会社が余剰資源生かして

2021.03.01 00:00

なの花交通バスの改造車両。手前のテーブルで問診票
を記入し、奥の席に移動してワクチン接種を受ける

 新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されたことを受け、観光関連事業者が自治体に支援サービスを提供する動きが広がっている。旅行会社は接種関連事務などを担い、バス会社は移動可能な集団接種会場を提供することで、自治体の負荷軽減と住民へのスムーズなワクチン接種を促す。本業の旅行需要が減少しているなか、人材の活用や収入確保を狙い新事業に乗り出した格好だ。

 日本旅行は西日本を中心に数十の自治体からコールセンター運営や予約システムの構築・管理などを受託している。2月18日には人間ドックや健康診断の予約サイトを運営するマーソと業務提携し、自治体により便利な予約を提案できるようにするなど、サービスの幅を広げた。両社の連携によるコロナワクチン接種ウェブ予約サービスは、すでに鳥取市で採択されている。

 このほか、JTBは東京都世田谷区のワクチン接種事務運営業務を受託。KNT-CTホールディングスは集団接種の会場運営を担うことも決まっている。

 バスをワクチン接種会場として提供するのは、千葉県のなの花交通バス。観光バスや路線バスを運行しているが、観光需要の減少で車両の空きや余剰人員が生まれたため、バスを改造し、車内を移動式の接種会場として活用するプランを打ち出した。バスには問診票記入や接種のためのテーブル席をはじめ、待機スペースや簡易ベッドも設置した。さらに、接種を終えた人はビニールスクリーンカーテンで感染防止対策を徹底した経過観察用バスで約30分待機できるようにした。

 同社はこのほか、接種会場に移動できない人の自宅に医療従事者をハイヤーで送り届けるプランやワクチン輸送プランも用意した。