KNT-CT、黒字転換も今期に不安要素 過大請求で団体旅行に打撃

2023.06.12 00:00

会見では米田社長(中央)が過大請求事案を詫び、コンプライアンス改革に向けた部署の設置を報告

 KNT-CTホールディングスは23年3月期(22年4月~23年3月)の連結決算で営業損益が114億1000万円の黒字となり、前期の76億8600万円の赤字から大幅に改善した。近畿日本ツーリスト(KNT)によるコロナ関連受託事業の過大請求額を約14.7億円と算出し、それを差し引いても4期ぶりの黒字転換を達成した。

 ただ、今期は営業利益が35億円へ約7割減少する見通し。6月1日に会見したKNT-CTの米田昭正代表取締役社長は、過大請求で特にBPO事業や教育旅行に影響が出ているといい、「23年度への影響は多大」と厳しさをにじませた。

 売上高は80.2%増の2521億5200万円。旅行業が国内旅行を中心に回復し、約1600億円と全体の約6割を占めた。前の期は旅行業と非旅行業がそれぞれ約700億円と拮抗していた。今期は1.6%減の2482億円と予想する。個人旅行は足元の予約状況がコロナ前並みに戻ったクラブツーリズムがけん引する形ですでに70%超まで回復している。一方、団体旅行はマイナスになると見ている。

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