東京五輪開催まで1年、観光産業の準備は待ったなし

2019.07.22 08:00

来夏のシミュレーションを兼ねた取り組みが始まっている
(C)iStock.com/Bibigon

20年7月24日に開幕する東京オリンピック・パラリンピックまで1年となった。観戦チケット販売の話題が予想以上の盛り上がりを見せるなどムードも高まってきた。観光産業の準備も着々と進みつつある。

 東京オリンピックの観戦チケットの購入申し込み手続きが5月9日に始まると、申し込みを受け付ける特設サイトに購入希望者が殺到。アクセスが大混雑しサーバーダウンを避けるために、受付の順番規制を行ったため、一時は100万人待ちといった事態も発生。大混乱の様相を呈した。その後、6月20日に抽選結果が発表されると今度はその当落に関心が集まった。職場や宴席などでもひとしきり観戦チケットの当落の話題で盛り上がることが多かったようだ。

 想定以上に盛り上がる国内での観戦チケット人気に押される形で、大会組織委員会は急遽、新たな抽選を8月に実施することを発表。観戦チケット販売の1次抽選に申し込みながら1枚も当選しなかった落選者の救済策として「セカンドチャンス」と称する抽選を行う。こうした観戦チケット争奪戦の過熱ぶりは、自国開催のオリンピックに対する関心の高さをうかがわせるものだ。

 競技が行われる会場施設の建設も順調に進んでいる。主会場となる新国立競技場は7月の時点で全体の9割の進捗状況で、10月からは各種検査を行い11月末には完成の予定。すでに完成している施設もある。夢の島公園アーチェリー場は2月末に工事が完了し4月28日から供用開始。ボート競技が行われる海の森水上競技場も6月1日から供用を開始した。また、カヌー・スラロームセンターの競技コースも7月6日に完成披露式典が行われた。

 人員確保が懸念されていたボランティアに関しても目途がついた。街なかで観客等の案内を行う都市ボランティアは昨年9~12月の募集期間に、募集人員2万人の1.8倍に相当する3万6649人の応募があり、大会の運営を手伝う大会ボランティアにも20万4680人もの応募があった。

 大会の開幕へ向けて五輪ムードを盛り上げる各種イベント等も準備が進む。聖火ランナーの応募がスタートし、聖火リレープレゼンティングパートナーである日本コカ・コーラ、トヨタ自動車、日本生命、NTTは6月から聖火ランナーの募集を開始しており、各都道府県実行委員会も7月1日から募集を開始している。

 4月には大会で使用するピクトグラムも発表された。オリンピックスポーツピクトグラムが全33競技50種類で、パラリンピックスポーツピクトグラムが全22競技23種類用意されている。同時にスポーツピクトグラムを使用した公式ライセンス商品も発売され、ピクトグラムをあしらったTシャツが販売されている。

テストイベントなど活発化

 本大会まで1年前の節目となる7月24日には東京都と大会組織委員会の主催で、国内競技団体、東京や会場自治体の代表者、各国大使を招いて行う「東京2020オリンピック1年前セレモニー」を東京国際フォーラムで開く。オリンピックメダルのデザインも発表される予定だ。会場では一般向けの競技体験「東京2020 Let’s 55 レッツゴーゴーオリンピック1年前スぺシャル」も実施される。

 五輪ムードの盛り上げと同時に競技運営のシミュレーションとなるテストイベントも活発化する。一部競技のテストイベントは昨年からすでに行われているが、7月から一気に開催が加速。7月だけでもウエイトリフティングやアーチェリー、サーフィン、自転車競技、バドミントン、バレーボールのテストイベントが開催され、年内に20種以上の競技のテストイベントが予定されている。

【続きは週刊トラベルジャーナル19年7月22日号で】

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