おてつたび、人手不足で利用者増 農業の担い手拡大へ移動費負担軽減

2023.12.04 00:00

 短期的・季節的な人手不足で困っている地域と地域で働きたい旅人をマッチングする、おてつたびのユーザーが増加している。その中でも農業・農村の担い手を増やそうと、おてつたびとANAあきんどが連携した。条件を満たす参加者に、全日空の往復航空券と前後の宿泊を自由に組み合わせるダイナミックパッケージが2万5000円引きで購入できるクーポンを提供する。課題である働き手の移動費負担を軽減し、担い手のさらなる拡大を図る。

 運営会社名でもある「おてつたび」は、お手伝いと旅を掛け合わせた。旅を切り口とすることで全国から人材を集めることが可能となり、旅人は報酬を得ながら空いた時間に地域での旅を楽しむことができる。宿泊は受け入れ側が無料で用意する。人手不足の解消だけでなく、地域での暮らしに共感を持つ人を増やし、観光促進と地域の活性化につなげる狙い。

 サイトへの登録と求人掲載は無料。マッチングが成立した場合のみ事業者からマッチング料を受け取る仕組みだ。

 登録ユーザー数(旅人)は11月現在で4万7000人、登録事業者数は全国1200事業者。19年1月にサービスを開始し、この1~2年で急速に増加した。参加者の約半数が大学生を中心とした10~20代だが、年齢層は広がりを見せている。コロナ禍で海外渡航が制限され国内に目を向ける人が増えたこと、テレワークで旅をしながら仕事をすることが可能になったこと、地方への移住先を探す目的で利用する人が増えたことなどが背景にある。

 繁忙期だけスポット的に人材を確保したいという事業者側のニーズにもマッチした。地元以外からも幅広く助っ人を集められるのもメリットで、利用が増えているようだ。

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