髙橋長官、変わらず海外旅行促進 予算措置には「知恵絞りたい」 就任後初会見で
2023.07.31 00:00
観光庁の髙橋一郎長官は7月19日、就任後初の会見に臨み、「持続可能な形で観光立国を復活させるよう、地域経済を支える人々をさまざま形で応援することが大きな任務の1つ」と抱負を述べた。好循環を生む観光地域づくりを全国各地で進め、成功事例の創出に取り組む。今春から施策が強化された日本人の海外旅行促進については、「いまアウトバウンドへの取り組みは極めて重要になっている」と述べ、変わらず推し進める方針を示した。
海外旅行の促進は「相互理解の増進によって安定的な国際関係の構築につながる」との考えに基づく。国際交流が航空路線網によって支えられているという観点からも、双方向での需要回復は不可欠とした。
一方で予算措置の拡充には難しさをにじませた。国が旗を振るのは1986年のテン・ミリオン計画以来だが、貿易黒字を減らす狙いがあった当時に比べると手厚いとはいえない。「消費がほぼ海外で行われるため、国費による直接的な支援はハードルがある」(同)。ただそのうえで、「どんなことができるか、関係業界と共に対策に知恵を絞りたい」と前向きな姿勢を示した。
観光需要は本格的な回復に向かっているが、観光事業者は人手不足やコロナ禍で膨らんだ負債の返済など課題に直面する。観光庁は現在、観光地・観光産業の再生・高付加価値化やDXを促し、事業支援に際して賃金水準の引き上げなどを働きかけており、稼げる産業へと変革を促す施策に取り組む意向だ。
「観光の持つ揺るぎないポテンシャルと底力を信じている」。髙橋長官はこう強調し、「観光産業が一層の誇りを持って取り組めるように全力を尽くしたい」と述べた。
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