上半期の訪日客、1000万人超え 5市場が19年上回る 消費額回復はさらに急ピッチ

2023.07.31 00:00

 日本政府観光局(JNTO)によると、今年上半期(1~6月)の訪日外国人は1071万2000人と、コロナ禍前の19年同期の64.4%まで戻った。6月単月では19年同月比72.0%の207万3300人で、新型コロナウイルス感染症の拡大により訪日外国人が大幅に減少した20年2月以降、初めて200万人を突破した。

 上半期を国・地域別に見ると、韓国が最多で312万8500人(19年同月比81.0%)、台湾が177万600人(71.4%)、米国が97万2200人(111.1%)、香港が90万9700人(82.9%)と続く。米国はすでに19年同月より10%以上も多く、主要24市場のうちコロナ前を超えたのは、米国をはじめ、シンガポール、ベトナム、メキシコ、中東地域。一方、中国は59万4600人(13.1%)にとどまっている。日本行き団体旅行・パッケージ商品の販売禁止措置が継続されている影響が大きい。

 順調な回復を見せる訪日外国人客数だが、観光立国推進基本計画では人数より消費額の拡大に重点を置いている。観光庁がまとめた4~6月の訪日外国人旅行消費額(速報)は1兆2052億円で、19年同期比95.1%と人数より回復のペースが速い。

 要因の1つが宿泊数の増加だ。平均泊数は10.0泊(19年同期比2.0泊増)、観光・レジャー目的に絞ると7.1泊(0.9泊増)となった。宿泊費の総額は4218億円と19年同期を15.1 %上回った。

 滞在が長くなれば、宿泊以外でもおのずと消費は増える。1人当たり消費額は20万4509円、観光目的では20万1172円といずれも19年同期を3割上回った。政府が目標に掲げる旅行消費単価20万円を達成したことになるが、観光のマス市場が戻り切っていない現状では、まだ楽観はできない。

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