デジタルノマド誘致へ制度化 専用ビザ検討 長期滞在と消費に高い期待
2023.06.12 00:00
ITを活用し世界を旅しながら働く「デジタルノマド」と呼ばれる人材を日本へ呼び込もうと、政府は受け入れ環境を整備する。高度IT人材の獲得という観点に加え、長期滞在や消費額の高さから経済活性化につながると期待する。関係省庁が連携して専用ビザの発給など制度化を検討していく。5月末に策定した「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」の施策に盛り込んだ。
デジタルノマドとは、訪れた国に長期滞在してオンラインで仕事をする人々。勤労形態が柔軟になってきたことを背景に急速に増え、21年時点で全世界で約3500万人と推計される。市場規模は推計7870億ドル(約110兆円)で、1人当たり約300万円を消費する計算だ。滞在日数は1カ所で数カ月以上など長期に及ぶ。消費行動による経済効果や交流人口の拡大、国内でのイノベーション創出などが期待され、経済団体がビザプログラムの導入を提案するなど、環境整備を求める声が高まっていた。
ただ現在、観光など日本で報酬を得る活動をしない場合の短期滞在ビザは最大90日まで。90日以上の滞在には企業などによる招へいが必要な就労ビザが適用される。デジタルノマドのような新たな働き方は想定されていない。
アクションプランでは、ビザや在留資格など制度面も含めた課題について把握・検討し、必要な対応を行うことを明記した。観光庁やデジタル庁、法務省、外務省など9省庁が連携し、23年度内に制度化する。
すでに海外では制度化の動きが広がり、欧州やカリブ海諸国など30カ国・地域以上で専用ビザの導入が進む。アジアではタイが制度化し、人気上位の滞在国となっている。
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