旅行意識、自粛でプリミティブ化 リクルート調査 今後の意向は二極化
2021.07.19 00:00
コロナ禍による自粛生活を経て、人々の価値観はプリミティブになり、自分軸の個性的な旅が増える―。リクルートのじゃらんリサーチセンターは、旅行の価値観と意識の変化に関する調査結果を基にこんな予測を導き出した。ファッションなど自分の社会的存在を示すものへの意識が薄れる一方、身の回りに関心が向き、旅行に対するニーズが大きく変化する見通し。感染症への恐怖感から、市場は旅行に積極的に出かける層と拒否感を抱く層に二極化傾向が見られる。
森戸香奈子研究員は自粛生活を経た価値観の変化を「プリミティブ化」と表現する。コロナ禍前は自己実現や社会的な欲求が高まっていたのに対し、自分と近しい人のための安全欲求の優先度が高まるパラダイムシフトが生じていると見るためだ。シンプルで背伸びをしない身の丈志向で、旅行では地方への関心が向くことから、地域の個性がより重視されると指摘した。
19年度に国内宿泊旅行を経験した人を今後の旅行意向に応じて分類すると、若年層を中心に感染の収束にかかわらず動くアクティブ層が22.7%、施策次第で動く中庸層が43.2%。一方、女性の高齢層を中心に休眠層も34.1%に上った。休眠層のうち強い拒否感がある人は15.5%を占め、手を打たなければ戻らない可能性もあるという。
市場回復に向け、森戸研究員は「コロナ下ではまずアクティブ層から提案して市場を牽引してもらい、感染者数の減少期に動く中庸層へと段階的なマーケティング戦略が必要」とする。特に他者の目を常に気にする中庸層には、市場の回復状況の告知、非接触チェックイン、人数・食事制限、地域側の受け入れ歓迎メッセージなどが不安解消につながると提案した。
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