<PR>宿泊施設のニーズ把握し人手不足解消目指す レベニューアシスタント開発のストーリー

2022.09.26 00:00

木村隆介グループマネジャー

いまや宿泊ビジネスに欠かせないサポートツールに位置付けられるのがレベニューマネジメントシステム、サイトコントローラー、PMS(残室・宿泊管理システム)だ。なかでも価格調整を担うレベニューマネジメントシステムは収益の最大化というビジネスの核心部分を担う最重要ツールといえる。

 リクルートはこのレベニューマネジメントシステムについて、18年春リリースの「レベニューアシスタント」の機能改修を21年5月に実施した。しかし既存システムをどのように強化すべきか、現場のニーズを正確に把握し、宿泊ビジネスの現実と実態に合わせた的確な改修を実施する必要があった。そこで当時、開発を託された木村隆介氏(データ推進室SaaS領域データソリューション2グループ・グループマネジャー)は宿泊施設の現場のニーズの把握のため、宿泊施設に常駐し業務を経験したいと考えていた。

4カ月に及んだ現場体験

 それまでのニーズ把握は、宿泊施設へのヒアリングや営業担当者からの報告をベースにするのが一般的だったが、木村氏は現場で実際の業務を知ることにこだわった。前職の大手総合電機メーカーで研究開発をしていた経験から、ヒアリングや報告書だけでは、知るべき重要な要素がこぼれ落ちてしまうことを実感していたからだ。同時に「やる以上は開発担当者としてきちんと現場を知ったうえで、宿泊施設の皆さんが本当に必要とするものを作りたい」との思いが強かったという。

 しかし、開発のため宿泊施設に常駐したケースは過去にはなく異例のこと。そこで自ら上司に必要性を説明して説得。これまでの経験から難航も覚悟したが許可を受けることができた。木村氏は「前例がなくてもきちんと必要性を示せば受け入れてくれるのはリクルートらしさ。そのかわり『成果はちゃんと持ち帰ってね』と釘は刺されました」と笑う。

 次は受け入れ先探し。営業部の協力を得て担当者と2人で候補地域の宿泊施設を軒並み訪ね頭を下げた。常駐の狙いと必要性を伝え、ようやく長野県の山間部にある温泉旅館に受け入れてもらえることになった。肩書は予約担当者のアシスタント。旅館での現場体験は4カ月間に及んだ。

 毎朝、誰よりも早く出社し、誰よりも遅くまで事務所に残るように心掛けた。「それが受け入れてもらった者の礼儀だし、現場の信用を得るためでもありました」

 コロナ禍前であったこともあり旅館は連日盛況で忙しく、木村氏も予約関連業務だけでなく、荷物運びも手伝った。ちょうど人手がないタイミングでトイレの目詰まりが発生した際には、木村氏が対処した。英会話ができるため外国人旅行者への対応要員としてフロントに立つこともあった。こうして信頼関係を築いた現場スタッフや経営者から得た本音の要望や情報は、その後、木村氏が開発を進める上での宝物になり、機能強化の随所に反映されている。

将来的な待遇改善にも期待

 4カ月間の常駐で木村氏があらためて痛感したのは、予約担当者に集中する業務負担の大きさだった。「宿泊ビジネスの中枢である予約担当者が判断を求められる場面が多く、とにかく忙しい。だから、機能強化では少しでもレベニューアシスタントで肩代わりできることを目指しました」

 極めて属人的な予約関連業務のノウハウを、システムを使って宿泊施設全体で共有できれば、効率向上と生産性向上が図れるだけでなく業務の引き継ぎが簡単に進められるメリットもある。

 業務の属人化の解消や効率向上は、アフターコロナの需要回復にあたり深刻化している人手不足の解消にもつながる。しかも現状の不足を解消するだけでなく、将来にわたって人手不足解消に役立つと木村氏は期待する。

 「レべニューアシスタントを活用して客室単価を上げることができれば、宿全体が余裕を持って収益を上げられる。それによって従業員の勤務体制や働く環境、待遇が改善されたらと思っています」

現在も多くの担当者が常駐

 旅館での日々を体験した木村氏に強い印象を残したのは「宿泊業界は経営者から現場まで素敵な人ばかりであること。お客さんに喜んでもらうために頑張るホスピタリティーがあふれている」ことだ。だからこそ「みなさんが自分の理想とするおもてなしを実現できるようにしたい。レベニューアシスタントがそのために必要な時間やパワーを生み出す役に立てればと思っています」という。

 木村氏の旅館現場での体験は今回の機能強化のベースとなった。しかし「旅館、ビジネスホテル、シティホテルなど業態や規模が異なればニーズも変わる。ニーズの変化には常に目が離せません」(木村氏)。そのためリクルートは現在も複数の担当者を宿泊施設へ常駐派遣しており、派遣が半年を超える者もいるという。

 現場密着で時間と手間と情熱をかけた徹底的なニーズの把握が、最先端のレベニューマネジメントシステムを裏でしっかりと支える大きな力となっている。

レベニューアシスタント開発にかかわる担当者の多くが各地の宿泊施設に常駐し業務の理解に努めている

機能拡充で広がる導入施設

 21年5月の機能拡充によりレベニューアシスタントを導入する宿泊施設は全国各地へと広がっている。

うれしい価格提案で管理時間短縮  皆生松月・皆生游月(鳥取県)

 売り上げ拡大へ値付けが課題でした。そのためにはサイトコントローラーやOTA各社の動きを常に把握する必要がありますが一括管理ができず、朝夕2時間程度時間をとられて頭を抱えていました。レベニューアシスタントの導入でその時間が10分ぐらいになった感覚です。とにかく画面が見やすく無駄に考え込む時間もなくなりました。価格の提案をしてくれることが大変助かり、適切な値段で売ることができます。コロナ禍においても5年連続の増収を果たせています。(福元さん談)

過去の振り返りや先々の戦略構築も レンブラントスタイル御殿場駒門(静岡県)

 20年にオープンしましたが、販売価格が市場と乖離していたのかお客さまが入らない時期もあり、適正な価格設定がわからない状態でした。そんな時、レベニューアシスタントを導入したら、周辺ホテルの販売価格がリアルタイムでわかるようになり、「この日は単価を取りにいく」「この日は稼働を取りにいく」などと戦略が立てやすくなっています。操作性もよく情報が視覚的に入ってくるので、過去の振り返りと先々の戦略構築が同時にしかも短時間で行えます。(岩瀬さん談)

関連キーワード