観光白書、旅行トレンドの変化指摘 近隣訪問やワーケーションが増加

2021.06.28 00:00

 政府がこのほど閣議決定した観光白書によると、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた20年度の国内旅行は、県内など近隣地域内での観光、いわゆるマイクロツーリズムが増加するなどトレンドの変化が明白となった。宿泊者数に占める県内客の比率は19年7~12月調査時の24.8%から20年7~12月は31.8%に増え、1泊の割合は58.0%から70.4%に増加した。同行者は友人が減る一方、夫婦・パートナーが増え、旅行形態は個人旅行の割合がさらに高まり、86.9%を占めた。

 ワーケーションやアウトドアなど自然体験へのニーズも高まっている。テレワークが普及するなど働き方が多様化するなか、仕事と休暇を組み合わせたワーケーションは特に20~30代の実施希望率が40%台と高い。また、アウトドアでの自然体験は3密の回避につながることからも、以前にも増して需要が高まり、キャンプ場1施設当たりの予約が2倍となる月も出ている。

 新たな旅行スタイルとしては、滞在型観光、分散型旅行、近場での修学旅行、オンラインツアーが増加した。滞在型は1つの地域に滞在し、その土地の文化や暮らしをじっくり楽しみながら3密も避けられることが後押しした。時間と場所を分散する分散型旅行は、3密回避に加え繁閑差を解消する効果を狙い、政府や事業者が促進に努めた。行き先を県内など近場に変更して実施する修学旅行は全国的に増えた。

 コロナ収束後の旅行意向は強まりを見せている。「これまで以上に旅行に行きたい」とする回答は、20年7月調査時の14.5%から今年1月には22.0%まで増加した。国内旅行では閑散期や近場、観光客が密集しない観光地を希望する人が3割を占め、ここでも変化が顕著となっている。

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