アメックスGBT、競合CWTを買収 法人旅行の巨人誕生へ 日本にも影響

2024.04.08 00:00

 法人旅行で巨大企業が誕生する見通しとなった。米アメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベル(GBT)が競合大手の米カールソン・ワゴンリー・トラベル(CWT)を買収する最終契約を締結した。買収額は約5億7000万ドル。GBTは近年、M&A(合併・買収)に積極的で、英ホグ・ロビンソン・グループや米エジェンシアなど同業大手を次々と傘下に収めてきた。今回の買収で大手の一角がなくなり、勢力図が再び変わろうとしている。

 規制当局の承認を経て、今年下半期に手続きが完了する見通し。CWTは現在4000の顧客を擁し、GBTが持つ旅費や経費のソフトウェアなどサービスの選択肢が増えるとしている。相乗効果は3年間で約1億5500万ドル、その約35%が25年に得られると見込む。

 米旅行専門誌トラベルウィークリーの旅行業者ランキングによると、22年の取扱額はGBTが230億ドル。法人旅行会社の中でトップで、次いでオランダのBCDトラベルが160億ドル。CWTは136億ドルで一歩及ばない。

 GBTは24年に売上総利益で前期比6~9%増の24億~25億ドル、調整後EBITDAで18~32%増の4.5億~5億ドルと好業績を予想。CWTはそれぞれ約8億5000万ドル、7000万~8000万ドルと見込んでいる。

 米国の旅行業界はさまざまな見方を伝えている。他社は競合の1社が減ることで顧客獲得の機会が増える。一方、グローバル展開する企業にとっては旅行会社の選択肢が減り、交渉力が低下する懸念があるとしている。

 日本での動向も注目される。GBTは日本旅行と、CWTはJTBとそれぞれ合弁会社を展開している。体制がどうなるか気になるところだが、まだ方針は見えてこない。

【あわせて読みたい】アメックスGBT上場、アボットCEO「成長をさらに加速」 今期の営業収益17.5億ドル予想 対面会議増え、ホテル料金は上昇 アメックスGBTが24年市場予測