空港グラハン、採用数の半数離職 多忙など理由に 課題解決へ業界団体発足

2023.10.16 00:00

 国土交通省航空局の調べによると、恒常的な人手不足が問題となっている空港のグランドハンドリングに関し、主要61社の従業員数に回復傾向が見られる。4月時点ではコロナ前に比べ1~2割減少していたが、9月には旅客ハンドリングが19年3月比14%減の約1万2100人、機体誘導などを行うランプハンドリングが5%減の約1万1600人まで戻った。ただ、離職者数が採用者数の約半分の規模を占め、人材流出に歯止めがかかっていない。

 10月5日に開催した第8回持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会で現状を示した。特に旅客ハンドリングは、8月の採用が209人だったのに対し、離職が296人と上回る。ランプハンドリングは採用の175人に対し、離職が140人と逆転こそしていないものの、従来に比べ差が縮小している。離職は多忙などが主な理由だという。

 4~8月の累計では、旅客ハンドリングは都市部(成田・羽田・中部・関西)とそれ以外の地方部のいずれも、離職の規模が採用の約半数を占めた。ランプハンドリングは都市部の離職者が3割強だが、地方部では半数に上る。

 人員不足の解消には、待遇改善の原資となる航空会社からの受託料引き上げなどが必要とされる。こうした問題に対応できる体制を整備しようと、9月には空港グランドハンドリング協会(空ハン協)が発足した。10月1日時点でグラハン事業者48社が正会員として名を連ね、航空会社など特別会員を加えると計53社が加入する。

 空ハン協はまず第1期アクションプランを策定。調査や現場視察を通じて課題を取りまとめ、打ち手を検討して関係各所に要請することを盛り込んだ。業界の認知度向上やカスタマーハラスメント対策にも取り組む。

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