人材不足、出戻り社員に熱視線 じわり広がるアルムナイ制度 採用に一定の効果
2023.09.25 00:00
人材不足が各方面で叫ばれるなか、一度退職した社員を積極的に再雇用する企業が増えているようだ。「アルムナイ制度」などと呼ばれ、組織化する取り組みが金融業界を中心に拡大している。いわゆる出戻り社員はかつてネガティブなイメージもあったが、社風を理解し新たなキャリアを積んだ人材の獲得は有効な手段と捉えられている。
アルムナイは英語で卒業生や同窓生を意味する。元社員の再雇用はどんな企業でも少なからずあるが、金融業界ではここ数年、継続的に接触の機会をつくるためにネットワークを立ち上げる事例が目立つ。
参加者は経歴やスキル、実績などを登録し、企業は情報交換や交流の場の提供、再雇用相談窓口の設置などを行う。先行する欧米も金融業界が中心だが、観光関連ではルフトハンザグループがネットワークを有する。企業にとっては、採用にかかる時間やコストなど負担を減らせるメリットもある。
リクルートが3月に企業の人事担当者を対象に実施した調査によると、アルムナイネットワークを通じた採用を行っている企業は12.3%を占めた。ハローワークや人材紹介などに比べるとごく一部にすぎないが、必要な人員数の確保や求める要件に合致する人を採用できていると答えた企業は、非利用企業より約10ポイント高かった。現状では、グローバルで展開する企業や若い企業ほど、ネットワークの構築に取り組んでいることも分かった。
一方、明確にアルムナイネットワークを採用手法と認識してはいないものの、出戻り社員を採用している企業は55.5%を占めた。リクルートは、戦略的に仕組みを整備することで有効な採用チャネルとして活用できる可能性があると指摘している。
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