国土形成計画、地域生活圏に重点 8年ぶり改定 デジタル活用や公共交通再構築

2023.08.07 00:00

 総合的かつ長期的な国土のあり方を示す国土形成計画が8年ぶりに改定された。人口減少等による地方の危機など直面する難局を乗り越えるため、目指す姿として「新時代に地域力をつなぐ国土」を掲げた。日本はまさに時代の重大な岐路に立っているという認識の下、人々が未来に希望が持てる国土づくりの方向性を提示した。計画期間は50年までだが、さらにその先を見据えつつ、今後おおむね10年間で具体的な取り組みを進める。

 国土の刷新に向けた重点テーマの1つが、デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成。人口10万人程度以上を目安として想定した地域づくりに取り組む。例えば地域公共交通では、利便性・持続可能性・生産性の高いネットワークに再構築を進める。法制度や予算・税制等のあらゆる政策ツールを活用する。旅客輸送サービスの継続や利便性の向上に特例措置を講じることができる地域公共交通特定事業実施計画は、27年度までに300件の認定を目指す。

 持続可能な産業への構造転換も重点テーマ。観光産業の活性化では、稼げる地域・稼げる産業の実現を目指す。旅行業では、ワーケーション等の多彩な旅行ニーズ、災害や感染症の発生リスク、SDGsやDXなどにも対応できるよう、高付加価値な商品造成を軸にしたビジネスモデルの構築を官民連携で推進する。また、世界に誇る観光地域づくりの司令塔となるDMOの形成を促進するとともに、宿泊税・入湯税など持続可能な財源の確保に向けた体制強化や、DMO を中心とする地域一体となった戦略策定を支援する。

 観光振興が地域社会・経済に好循環を生み、インバウンド回復と国内交流拡大の双方を支える、持続可能な観光地域づくりを推進する。

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