21年夏期日本発航空座席数、2.7倍の11万5000席に回復
2021.08.30 00:00
新型コロナウイルスの感染拡大は、新たに変異株が猛威を振るうなど、収束への流れは一向に見えてこない。しかしワクチン接種率が主要各国で高まるなか、日本発国際線定期旅客便の運航は徐々に回復傾向にある。
トラベルジャーナルが6月初旬に実施した21年夏期航空座席調査で、日本発定期旅客便の提供座席数は11万4644席と10万席を超えた。これまでの最高だった19年夏期調査時の10分の1にも満たないが、コロナ禍の影響を最も大きく受けた20年夏期調査時の約2.7倍、20年冬期調査時に比べても19.4%増加した。ただし、本調査による提供座席数は、それぞれの使用機材の当該航空会社における標準的な座席数をベースに計算しているため、ソーシャルディスタンスの確保や予約受け付け人数の制限等による実質的な提供座席数の減少は考慮に入れていない。また、臨時便・特別便および海外発のみの運航は対象外としている。
乗り入れ航空会社数は日系企業を含めて47社(自社機材での運航のないコードシェアのみの会社を含めると49社)で、20年夏期調査時の30社からは増加したが、20年冬期調査時の50社に比べるとわずかに減少した。関係各国でのコロナウイルスのまん延状況などに伴って、運航会社や運航体制の変更は相次いでいる。このなかで、新たに日本就航を果たしたのは台湾の新興航空会社スターラックス航空(JX)で、20年12月から成田と関西空港から台北線を運航している。
47社のうち、ローコストキャリア(LCC)は春秋航空日本(IJ)、スクート(TR)、ZIPAIR Tokyo(ジップエア・トーキョー、ZG)、セブパシフィック航空(5J)、チェジュ航空(7C)、春秋航空(9C)の6社4723席で、20年夏期調査比262.7%増、シェア4.1%。なお、同冬期調査時は9社5953席で前年同期比97.8%減、シェア6.2%だった。
路線別では、トップがアジア線、2位が太平洋線、3位が欧州(ノンストップ)線。20年夏期調査時、同冬期調査時と比べると、アジア線が順位を2位から1位に上げており、前年同期比210.8%増となったアジア線の回復が全体を牽引した形。4位以下は中国線、中東・アフリカ線、韓国線などが続く。ハワイ線と極東ロシア線は20年冬期から運航が再開されている。
空港別では、20年冬期調査時に引き続き、主要5空港で定期便が運航されている。いずれの空港も座席数は大幅に増加しているが、羽田、関西、中部、福岡空港での増加により、相対的に成田空港のシェアが50%台に若干減少している。なお、主に観光需要に支えられていた新千歳や那覇など地方空港での運航再開の動きは依然として見られず、まだしばらく時間がかかりそうだ。
航空会社別では、20年夏期調査比で613.0%増となった日本航空(JL)が20年冬期に続いて1位に。太平洋線、アジア線、欧州線などで座席数を大きく伸ばした。全日空(NH)は僅差ながら2位となった。3位にはシンガポール航空(SQ)が20年夏期調査比で650.3%増と座席数を大きく伸ばして20年冬期の5位からランクアップ。4位にはユナイテッド航空(UA)、5位にはデルタ航空(DL)と、北米系の航空会社が続いている。
【あわせて読みたい】20年冬期日本発航空座席数、9万6000席とわずかに回復 20年夏期日本発航空座席、運休相次ぎわずか4万席に
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