クラツー、地域振興事業に本格参入 企画力に強み 省庁公募案件で自治体支援

2021.06.14 00:00

おわら風の盆の越中八尾では、「月見のおわら」と称し
て開催日を分散化。観光公害の解消に貢献してきた

 クラブツーリズムは地域の交流人口の活性化や誘客支援に本腰を入れる。今年に入り、自治体への人材派遣を積極化しており、4月には専門組織として地域共創事業部を新設した。テーマ型旅行に代表される企画力を生かした観光資源開発や全国300万世帯の顧客基盤を生かした調査事業などを通じて、自治体との連携を深める方針。地域振興事業はコロナ下で旅行会社が強化する姿勢が鮮明になっている。クラツーは大手の中では後発だが、多彩な販路も武器に攻勢をかける構えだ。

 6月4日には自治体関係者500人を集めてオンラインセミナーを開催し、同社のリソースや活用法を訴求した。地域共創事業部の樋山智彦部長は、「訪日旅行は止まっているが、省庁の公示事業など手掛けられるものもあり、再開に向けて一緒に取り組みましょう」と伴走する姿勢を強調した。同社は昨年、観光庁や文化庁、北海道運輸局などが公募する地域の観光振興の実証事業を手掛け、それまでと比べて件数を増やしている。21年度はすでに観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進事業で5自治体の実証実験に携わる。

 リソースの活用法として打ち出したのが、省庁が推進する事業に合わせた施策の提案だ。地域資源の開発や磨き上げには、商品化スキルのある500人以上の現役スタッフを有することを強みとする。実証実験では、会員顧客によるモニターツアーなどで検証を支援できるとみている。新たな旅行様式への対応では、長期滞在型商品「暮らすような旅」を通じたワーケーション関連プログラムの企画・提案も可能とした。

 地域振興はグループ企業の近畿日本ツーリスト各社も取り組んでいる。同社の組織力と自社の多彩なリソースを生かし、連携も進める。

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