台風被害、政府が需要回復へ支援 キャンセル45万人泊以上

2019.11.18 00:00

 首都圏などに被害をもたらした台風15号と19号の観光需要復興に向け、政府は割引旅行商品「ふっこう割」などの支援に乗り出した。今年度予算の予備費29億円を充てることを11月8日の閣議で決定した。

 特に台風19号は首都圏や東北など広範囲に被害が及び、河川堤防決壊などで死者も多数出た。観光地の被害はそれほど深刻ではないものの、交通アクセスの復旧作業などがいまも続いている。

 観光庁は台風19号通過後から10月末までに宿泊を予定していた旅行者による宿泊キャンセルについて、災害救助法が適用される14都県で45万人泊と推計。また、同法が適用されていない石川、富山の2県は北陸新幹線が運休していたため、この影響を含めると観光への影響はさらに大きいと見られる。宿泊施設の破損などの物損被害は259軒に上った。

 今回の台風は「観光地そのものの被害は少ない」(観光庁旅行振興参事官室)ことに加え、地震のように余震などの心配がなく、風評被害は比較的小さいと見られる。

 一方で、観光地へのアクセスでは懸念材料もある。北陸新幹線は10月25日に再開したが、通常ダイヤより本数を減らして運行。箱根登山鉄道は箱根湯本/強羅間が運休し、回復のめどは立っていない。東北では三陸鉄道リアス線の釜石/宮古間の13駅、宮古/久慈間の17駅で運休しており、それぞれ代替バスを運行している。こうした状況を受け、政府は昨年7月の西日本豪雨と同様に、代替交通手段に支援金を拠出する方針を示している。

 訪日プロモーションに関しては、4億5000万円を投じて日本政府観光局(JNTO)がSNSや広告などで被災地域の露出を高める。

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