観光庁の補正予算689億円 訪日客単価25万円へ地方誘客 混雑対策も

2023.11.20 00:00

 政府は11月10日に23年度の補正予算案を閣議決定し、観光庁関連では689億円が盛り込まれた。大きく3つの事業を展開する。訪日外国人旅行消費額の拡大に向け、地方への誘客に184億円、地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化に200億円を充てる。喫緊の課題とするオーバーツーリズム対策も講じ、未然防止・抑制などによる受け入れ環境整備に305億円を投じる。

 地方誘客では、特別な体験を提供し、訪日客1人当たり消費額25万円を目指す。円安や泊数増加を背景に25年までの目標の20万円をすでに超えているため、30年の目標としていた水準を目指す。観光資源を早朝夜間や未公開・非混雑エリアの活用と組み合わせ、これまでにない体験や期間限定の取り組みを生み出す。

 想定するのは城郭の夜間貸切ツアーや国立公園の立ち入り禁止区域の特別ツアーなど。例えば民間企業が2500万円以上かけて行う訪日客3000人以上の事業なら、最低1500万円を補助する。

 観光地の高付加価値化は複数年にわたって取り組んでいる事業。22年度に確保した補正予算額のうち後年度分を充て、宿泊施設や観光施設の改修、廃屋の撤去などを支援する。

 オーバーツーリズム対策では、全国で20程度のモデル地域を選定し、最大8000万円の補助金を支給する。観光客の受け入れと住民の生活の質の確保を両立できるよう、地域の実情に応じた対策を総合的に支援する。

 具体的には、手ぶら観光の仕組みの提供、スマートごみ箱の設置促進、交通の対応力強化、パークアンドライド、混雑状況の可視化などを想定。地域の観光関係者が連携して行う面的な事業には最大5000万円を補助する。

【あわせて読みたい】オーバーツーリズム再燃 地域の打ち手とは