デジタルIDで空の旅完結へ IATAが実験成功 将来はスマホ1つで

2023.11.06 00:00

ヒースロー空港ターミナル5の生体認証ゲート(写真提供/ブリティッシュ・エアウェイズ)

 IATA(国際航空運送協会)はこのほど、デジタルIDで航空券の購入から到着まで完結する初の旅行体験を試行した。空の旅に関する一連の行程をデジタル化し、可能な限りシームレスにする方法を検討してきた。実証実験には、旅券や搭乗券、顔データなど生体情報をひも付けた「OneID」と新流通規格(NDC)を活用した。

 実験の舞台となったのは、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)のロンドン・ヒースロー空港からローマ・フィウミチーノ空港までの旅行。BAや空港会社のほか、アクセンチュア、アマデウス、トリップ・ドットコムなどもプロジェクトに参加した。

 航空券の購入段階では、旅行者がスマートフォンのデジタルウオレットにロイヤリティー会員情報などを保存し、旅行会社と共有。旅行会社はNDCを通じて顧客の要望に合った航空券や付帯サービスを提案する。旅行者が提案の中から希望する内容を選ぶと、デジタルウオレットに購入情報が保存される仕組み。PNR(乗客予約記録)、電子チケットなどは不要で、旅行に関するすべての情報は検証が可能な認証情報として保存され、QRコードとして読み取ることも可能という。

 空港での搭乗手続きや出国審査も大幅に簡素化され、非接触体験を実現した。あらかじめスマホにデジタルパスポートと航空券購入情報を保存しておき、航空会社と共有して空港到着前に渡航に必要な書類の確認などを済ませる。生体認証データも共有することで、出国審査では生体認証ゲートを通過。ラウンジに入り、航空機に乗り込むことができたという。

 IATA は「将来的に旅行に必要なものはスマホだけ」といい、次世代の旅の形を引き続き模索していく。

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