訪日客受け入れ、人手不足が最大課題 JATA意識調査 物価高も頭痛の種

2023.10.23 00:00

 JATA(日本旅行業協会)が実施した訪日観光客の受け入れ拡大に向けた意識調査で、最大の課題は人手不足や人材不足であることが分かった。旅行会社・宿泊事業者・輸送事業者・自治体などへのアンケート結果から分析した(回答1094件)。受け入れをさらに増やしていくためには、人材面の課題解消が最も重要な条件となるが、国・政府の支援、地方の国際線拡充、自治体の広域連携拡大などに期待する声も多かった。

 訪日観光客の戻り具合(4~6月現在)は、26%が19年比で50%未満にとどまると回答した一方で、23%は90%程度まで回復しており、事業者間で差が見られる。19年水準を超えたのは7%にとどまった。

 現在の課題(複数回答)は人手・人材不足が64%でトップ。ドライバー・バスガイドを筆頭に、旅行カウンターやホテルのフロントなど、全体的に顧客向けのサービススタッフが不足している。営業・マーケティングに携わる人材も足りていない。

 要因として挙げられたのは、賃金など待遇面、残業・休日出勤など労働環境に続いて、就職希望者が少ないという深刻な現状。観光産業全体で将来も含めた人員の確保が大きな課題となっている。

 人手・人材不足以外で挙げられたのは、2次交通・国際線地方路線・アクセスなど交通インフラ整備が合計で52%、多言語対応(インフラ・人材)が合計で63%と多かった。

 物価高などによるコスト上昇にも頭を悩ませる。19年と比較してコスト上昇を価格に反映した企業は観光事業者全体の41%。今後検討するという事業者も37%あり、値上げは業界全体で不可避となっている。