ANAホールディングス、TaaS視野に旅行業登録 経路検索サービス刷新で購入機能追加

2023.09.18 00:00

MaaSを推進する津田執行役員(左)と江口マネジャ。両名とも旅行業務取扱管理者に名を連ねた

 ANAホールディングス(HD)がMaaSの推進で大きく一歩前進した。ANA便利用者に提供していた空港までの経路検索サービスを全面的に刷新し、予約・購入の機能を備えた。見直しの前提としたのは、ANA便や航空機利用にこだわらない移動。旅先での体験の手配も視野に入れ、旅行業登録も行った。

 従来の「空港アクセスナビ」を刷新し、7月末から提供を開始した「旅CUBE」は、ANA便を予約していなくても誰でも利用できる。鉄道や車などを含めた経路検索の結果はスケジュールに保存でき、自由に旅程を組み替えながら旅の計画を検討することができる。

 約70社に広がった提携事業者の中で、新たな提携先として目立つのが地方のバス会社だ。バスは総じてデジタル化が遅れ気味だが、乗車時に使えるQRチケットを表示できるようにした。

 モビリティ事業創造部MaaS事業グループの江口奈緒美マネジャは「機械を導入しなくても、オペレーションがうまく組めればさまざまなやり方が考えられる。提携の幅を増やし、一緒にサービスを広げ利便性を高めたい」と話す。

 月間約100万人の利用を目指す。8月末にANAアプリと連携を開始し、空港アクセスナビからの切り替えで約30万人を見込むほか、ANAのサービス以外からの流入増を図る。認知度を向上させるため、空港ビルや観光協会などとの連携を推進する。

 次のフェーズで見据えるのはTaaS(Travel as a Service)への進化だ。津田佳明執行役員未来創造室長は目指すところについて、「移動の中で行うさまざまな体験や購買に寄り添っていく」と話す。宿泊のほか、入場券や体験プログラムなどを含め、「一括で手配できる場」を展望している。