東急、サブスク実証の効果得て事業化 3年目の黒字化へ 法人にプラン拡大

2023.05.29 00:00

旅先や施設選びに悩んだという声に基づき、チャットGPTを活用した案内機能を導入

 東急は、21年4月から2年かけて実証実験を行ってきた宿泊の定額制サービス「TsugiTsugi(ツギツギ)」を正式に事業化し、通年でサービスを開始した。宿泊施設の課題である曜日や季節ごとの需要偏重に対し、平準化や底上げに貢献できることが分かった。5月17日の開始に伴いプランの種類や機能を拡充し、3年目の黒字化を目指す。

 ツギツギは主に東急グループが展開する全国110施設のうち、好きな日に好きなホテルを選んで泊まれる。実証実験では、平日(日~木曜)の稼働割合が高く、予約のリードタイムが短いため間際の集客や単価上昇に寄与したと分析する。

 8割が働きながらの利用。旅行先を1泊も決めずに購入した人は37.4%と新たな訪問地の開拓にもつながっているようだ。仕事と旅行で併用した人は54.9%を占め、62.7%が有給休暇を取得するなど、新たな働き方やモチベーション向上にも資すると見る。

 月2泊できるプランを加え、5泊、14泊、30連泊の4種類に増やした。法人向けプランも導入し、出張費の削減や福利厚生のニーズを取り込む。

 東急ホスピタリティ事業部の川元一峰課長補佐は、「ホテルとの連結ベースで見れば黒字化はもっと早い」と見通す。個人ユーザーの拡大を成長の下地に、法人需要の獲得で安定した収益を生み出す体制をつくる。

 一方、DMOと組んで取り組んできた体験の提供では、宿泊ほど手ごたえのある成果には至らなかったようだ。「旅程などをわれわれ側から提示していく必要がある」(同)とし、新たに導入したAI(人工知能)の提案機能にその仕組みを持たせ、宿泊、体験、移動を網羅した案内を強化していくという。

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