米大学入試の同窓生枠

2022.12.05 00:00

 映画「バーシティ・ブルース」は金の力で大学入試を有利にしようとする不適切入試をテーマに話題作となった。日本の大学入試でもスポーツなど特定能力保持者を優先するケースは多くみられるが、米国では人種枠などに加えてレガシー選考と呼ぶ同窓生優先制度がある。この廃止を求める動きをニューヨーク・タイムズが伝えた。

 イェール大学は25年度の入学選考方法について説明し、48州、68カ国、1221の高校から生徒を迎え、有色人種も51%に上ると自慢した。同大学は学生の多様性を促進しているが、伝統的なレガシー選考もあり、その割合は14%で主に白人で裕福な同大学卒業生の子弟である。

 レガシー選考は、裕福なプロテスタント向けエリート大学がユダヤ人とカトリック教徒の入学者増を懸念して1920年代に始まったもので、2018年の調査では有名私大を含む私大の42%と公立大の6%が採用する。リベラルな学生、議員、教育改革者による反対運動にもかかわらず、その廃止はジョンズ・ホプキンスやアマーストなど一部エリート大にとどまる。しかし、レガシー選考は将来的には差別是正措置に結びつくかもしれない。

 米最高裁はハーバード大学とノースカロライナ大学での人種を意識した入学方針について、今秋公聴会を開く見込みだ。最高裁に提訴した学生は、レガシー選考を廃止すれば差別是正措置を使用せず人種の多様性を達成することができると主張する。一方、多くの大学はレガシー選考が全体の一部で、家族の絆と世代を超えた愛校心を高め、入学率と授業料管理に役立つという。レガシー選考応募者は合格者の入学率が高く、同窓生からの寄付調達にも大きく寄与するためとされる。

 専門家の予想では、入学選考の際に人種を考慮する慣行を裁判所が禁止する場合、レガシー選考にも再検討を促す可能性がある。イェール大学の入学担当部長は、「新入生を選別する方式は、教員を雇用し学科を決定するプロセスとともに、大学のコミュニティーと文化を決めるものでレガシー選考の禁止は大学への政府の介入である」として反対する。また、デューク大学の学長は「私たちは家族により創られた機構でデューク一家である。レガシー選考を禁止したり、考慮事項として特定要素を禁止する考えは厄介だ」という。同大学のレガシー選考での入学率は約22%だった。

 ハーバード大学のデータを分析したエコノミストによると、典型的な白人のレガシー選考への応募者は他の応募者より5倍有利になると推定する。半面、レガシー選考も人種を意識した選考も中止になると、多様性の喪失につながると述べる。同大学の推定レガシー入学率は14%である。

 公民権運動後、黒人の大学卒業生が急増、その子弟も大学を志向しており、一部の黒人卒業生もこの制度を支持する。公立の黒人学生受け入れ旗艦校バージニア大学でも昨年のレガシー比率は約14%で同制度はすでに人種の壁を越えている。

 日本でも金銭がらみの不適切入試は裁判で有罪判決が出たが、現役生、地元出身者への優遇、スポーツなど特別能力保持者への優遇は罪に問われていない。米国で同窓生枠が裁判所で議論される時、特定技能枠はどのように議論されるだろうか。

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