GoToで不適切給付2億円 会計検査院、確認のずさんさ指摘 国庫への返還要求

2022.10.24 00:00

 会計検査院は観光庁が20~21年に実施したGoToトラベル事業に関し、旅行業者へ不適切な取消料対応費用の支払いがあったとして、是正や審査方法の見直しを求めた。事務局による確認の不徹底を要因とし、ずさんな対応を指摘している。

 GoToはコロナ感染状況などを踏まえて都度一時停止し、取り消された予約について、取消料対応費用を事務局が旅行業者等に支払う措置を講じている。検査院は、事務局が21年度末までに支払った約1225億円に係る約405万件の申請内容を確認。支払い要件を満たしていないものが計9969件、約2億1739万円分見つかった。

 この原因について検査院は、旅行業者が実際と異なる内容の予約リストを提出したことや、事務局の審査体制の問題、また観光庁の指導の不備を指摘。事務局が作成した申請審査マニュアルに、対象とならない旅行商品の予約の有無を確認する項目が記載されていないなど不備があり、複数の審査担当者による確認もなかったとしている。

 また、観光庁の指示で21年に事務局が約6000件の事後審査を行い、うち約500件が支払い対象とならない予約だったことを確認した後も、事後審査の対象範囲拡充などの措置を取らなかった観光庁や事務局の怠慢も挙げた。「審査マニュアルにおいて確認することとしていた項目すら、十分な確認がされていなかった」とも指摘した。

 検査院は、事務局にあらためて不適切な支払いを受けた旅行業者に取消料対応費用を返還させ、国庫に返還させるよう求めている。観光庁は「事態を重く受け止めている。現在事務局に指示して記録の照合を進めており、不適切な支払いを確認したうえで返還を急ぎたい」としている。

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