観光庁、高校での観光教育普及へ実証事業 新科目導入で地域連携を支援

2022.08.22 00:00

 観光庁は観光教育強化の一環として、高校生を対象に未来の観光人材育成に取り組む実証事業を行う。月内をめどにモデル地域・モデル校を選び、来年1月末までの間、地域と学校が協働した学びを提供する観光教育プログラムを実施し、成果を検証する。学習指導要領の改訂により、高校で今年度から観光ビジネスを商業科の教科に導入できるようになり、観光教育の注目が高まっていることが背景にある。

 観光庁は次世代を担う子供を対象に観光教育プログラムの開発支援と普及に努めてきたが、高校生に特化した事業は初めて。新科目導入が決まった21年度は3校で実証事業を実施したが、地域を巻き込んだ観光教育がより重要との認識の下、今年度は学校のみならず、地域、企業など学外が連携して取り組むプログラムの実践と産学連携の基盤モデル構築を目指す。

 事業採択の要件は、地域が抱える課題を地域ならではの観光資源を活用して解決する取り組みであること。地域への愛着と誇り、さらには主体的に地域課題の発見・解決ができる解決力を育み、観光立国を支える人材の裾野を広げる。題材は持続可能な開発目標(SDGs)や教育旅行を取り扱うこととした。教育旅行の場合、地域に誘致することを想定した企画内容とする。採択事業に対しては、事務局がプログラム実施に当たって助言など各種支援を行うほか、一部費用も支援する。

 文部科学省によると、全国で商業科のある学校は599校、単独学科(商業高校)は164校、生徒数は17万1088人(21年5月現在)。このうちどの程度の学校が観光ビジネス科目を導入したかは不明だが、観光分野を担う次世代の人材育成・確保は、国を挙げた取り組み課題となっている。