旅行会社と自治体の連携協定増加 新領域に活路、農業やふるさと納税支援も
2021.09.20 00:00
旅行会社が地方自治体と観光客誘致や地域産品の販路拡大などを目的に連携協定を締結する事例がコロナ下で増えている。エイチ・アイ・エス(HIS)は今年に入り3市と提携し、JTB は9月に2町村と相次ぎ協定を結んだ。旅工房は8月、同社初のケースとして湯沢市との協定にこぎ着けた。旅行市場の回復が見通せないなか、旅行業の知見やノウハウを生かせる事業領域に活路を見いだしており、支援内容には広がりも見られる。
HIS は9月1日、山形市と観光と農業の振興で連携した。海外61カ国の拠点を通じて観光資源や農作物など山形ブランドを発信し、訪日外国人の誘致や市産品の販路拡大に取り組む。自治体連携は8件目。16年の神奈川県を皮切りに徐々に増やし、今年は1月に大阪市と海外での水道事業支援、7月に美濃市と人材派遣で提携した。なかでも山形市はHISが新規事業として力を入れる農業を生かすことができる。
JTBは鹿児島県大崎町と群馬県片品村で社会課題を解消するソリューションを提供する。15年からふるさと納税事業で関係を築いていた大崎町では、サテライトオフィスを設置して支援体制を拡充するほか、町が誇る廃棄物処理システムを視察コンテンツとして交流人口の拡大を図る。片品村では、国内外からの誘客はもとより、片品村振興公旅社が有するマーケティングデータを使って人流や物流などを活性化するため、人材を派遣して支援する。
旅工房は昨年、国内旅行分野に参入し、事業を強化するなかでの提携となった。湯沢市・市観光物産協会、北都銀行と組み、現地でしか流通していない特産品の紹介、現地と中継でつなぐオンライン旅会などを予定。特産品の販路拡大や誘客につなげる。
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