HISが相次ぎ新規事業、終活分野にも参入 蕎麦屋は2店舗目

2020.11.09 00:00

墓参り代行は首都圏1都3県から開始。写真や動画での報告に加え、リモートでライブ中継も可能

 エイチ・アイ・エス(HIS)がコロナ禍で新規事業の立ち上げを加速させている。旅館再生、農業、飲食業に続き、10月29日には終活関連事業を開始した。主力の海外旅行事業が壊滅的な打撃を受け、20年10月期の連結最終損益は318億円の赤字(前期は122億円の黒字)と02年の上場以来初の赤字となる見通し。当面の軸足を国内旅行に移すものの、店舗は国内240店のうち3割強が休業したままだ。将来の新たな事業の柱を育てるため、旅行業で培った集客力や拠点網を生かす。

 新規事業に共通するのは既存事業者の課題解決につなげる点だ。旅館の再生では、後継者不足やIT対応に伴うコスト増などに対処し切れず、経営難や廃業に追い込まれるケースが多い現状に着目した。販売・集客の仕組みを構築し、人の派遣や協業、資本参加も選択肢として用意する。

 10月には川越市に蕎麦屋を開業し、飲食業に進出した。個人経営が多い蕎麦屋も後継者不足が慢性的な課題となっている。1号店の「満天ノ 秀そば」では、31年間続いてきた店の味をHIS が継承した。11月5日には東京・飯田橋に2号店を開業し、今後は海外展開も視野に入れている。

 終活はクラブツーリズムが先駆けで講座やツアーを展開するが、HIS が始めたのは墓参り代行。入国規制で帰国できない海外居住者などの需要があると踏んだ。清掃などの様子をズームでライブ中継も行う。

 HIS フードプロジェクトとして、食の生産者や1次産業を支える事業も拡大している。国内消費量が減少傾向にある日本茶の新たな楽しみ方を都内の店舗で発信。日本酒の海外輸出支援も開始した。今後、領域を増やしていく計画だ。

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