コロナ時代の観光教育を模索 跡見女子大、ジャルパックと遠隔授業

2020.07.20 00:00

ジャルパックの海外拠点3カ所をつなぎ、
各拠点のスタッフが歩きながら観光地の今を伝えた

 跡見学園女子大学観光コミュニティ学部観光デザイン学科は、6月から7月にかけてジャルパックの協力の下、全4回のオンライン授業を実施した。新型コロナウイルスの感染拡大で大学は遠隔授業を取り入れているが、実践的な教育が難しいという課題を抱える。とりわけ観光を学ぶ学生にとっては、世界の観光産業が危機に直面している状況下で進路の変更を余儀なくされるケースも生じている。逆風のなか、産学連携で知恵を絞り、新たな観光教育の実践を目指した。

  プロジェクトは両者が2月に結んだ包括連携協定がきっかけ。大学と企業が相互の資源を共有し、新たな価値を創造するという考えに基づく。これまでもジャルパックや自治体などと連携した実践授業を行ってきた同大学の篠原靖准教授は、「遠隔授業でも可能な実践教育を模索した」と語る。

 目玉となったのは7月9日の授業。ジャルパックの江利川宗光代表取締役社長が登壇し、コロナ後の日本を第4の開国時代と表現。切り開くためには価値と希望が創造できる自律型人材が重要と説き、「世界が模索するなかで日本は主体的な役割を果たすべき」などと語った。

 また、同社の拠点があるハワイ・フランクフルト・香港の3カ所を中継で結び、コロナ禍の各国の観光事情を駐在社員が現地を歩きながら紹介。フランクフルトからは、「ドイツは衣・食・住・旅といえるほど旅を重視する国民性で、自粛後の今、旅への欲求の強さを感じる」などの報告がなされた。 

 学生からは、「生中継でまさに今求められる旅の力を知れた」との感想があった。篠原准教授は、「遠隔授業に加え、業界の新たな可能性も提示できた」と手応えを示した。