原優二のコロナ奮闘記vol.1

2020.04.07 12:00

 本日、4月7日、緊急事態宣言が出される。1月23日に武漢が封鎖されたとき、明日はわが身と感じた日本人はほとんどいなかったに違いない。私もその一人だ。今、日本でも医療崩壊が近づく中で経済優先などといっていられなくなったということだろう。確かなことは、新型コロナウイルスとの闘いは、その端緒に就いたばかりということだ。コロナ疲れなどと甘いことはいっていられない。これからが本番だ。

 すでに多くの中小旅行会社の経営者は、雇用調整助成金を申請し、政策金融公庫やセーフティーネットを利用して資金を手当てしていることだろう。親会社がある旅行会社は、資金繰りは心配ないかもしれないが、旅行業からの撤退・廃業を親からいつ言い渡されるかと不安に苛まれているかもしれない。大手・準大手のことはよくわからないが、今回は規模が大きければ大きいほど影響大である。さぞかし大変な状況であるに違いない。

 不安で逃げ出したくなる点では私も同じである。しかし、多少なりとも過去、SARS、ネパール非常事態宣言、ネパール大地震などさまざまなことを経験してきた分、少しは皆さんの役に立てるのではないかと思い、トラベルジャーナル、航空新聞社ウイングトラベル、トラベルビジョン各社にお願いして「コロナ奮闘記」を書くことにした。批判を恐れずあれこれ書くのでご容赦願いたい。とにかくこの難局を乗り切る一助になればと思う。

 昨日、4月6日から、弊社(風の旅行社)は臨時休業に入った。5月6日までの1カ月間だ。非常事態宣言が出たら実施しようと考えていたが、煮え切らない政府にじれったくなって踏み切った。3月下旬、あれこれ考えてみた。今、旅行会社の利点は何かと。海外旅行が止まり、いつ収束するかも見えず、先々の予約もほぼ入らなくなった。

 今はだめでも下期には盛り返そうと、下期の商品作りに取り組んだが、例年通り下期商品のパンフレットを6月にDMしても予約になるとは思えない。そこで、各担当者が初稿を出したとこでストップをかけた。今、旅行会社の利点は、臨時休業しても何の支障もないということだけだ。実るかどうかわからないことに労力をかけても実らなかったら、流血が増えるだけ。ならば、営業を止め社員の感染を防ぐことを第一義に考えよう。そして、可能な限り出血を減らして長期戦に備えるしかないと判断した。

 もう一つ、雇用調整助成金の1年100日という制限はリーマンショックでは3年300日になっている。勝手な予測だが必ず増えると考えたことも営業を止めた大きな理由だ。弊社はすでに3月2日から雇用調整助成金を受けるために休業に入っているが、補助的な助成金とは考えていない。生き残りのための最大の武器だと考え、社員にも前向きに休業に取り組めと言っている。

原優二●風の旅行社代表取締役社長。1956年生まれ。東京都職員、アクロス・トラベラーズ・ビューローなどを経て、91年に風の旅行社を設立し現職。2012年からJATA理事、16年から旅行産業経営塾塾長を務める。