IATA、アジア各国に支援要請 新型ウイルスで旅客収入2520憶ドル減

2020.04.06 00:00

 IATA(国際航空運送協会)は3月26日、新型コロナウイルス感染症で影響を受けている航空業界の支援をアジア太平洋地域の18カ国の政府首脳に要請した。渡航制限の拡大や世界的な景気後退の影響は甚大で、各国政府が迅速に財務面を支援し、医療品などの貨物便運航を守るためにあらゆる対策を講じる必要性を訴えた。

  IATAは航空業界への救済策として、直接の財政支援、政府や中央銀行による貸し付け、税金の軽減の3つを挙げた。コンラッド・クリフォード・アジア太平洋地域担当副社長は、すでに経済的救済策が示されている豪州、ニュージーランド、シンガポールの事例を挙げ、「より多くの国が追随するべきだ」と指摘している。

  各国が発表している措置としては、豪州が国内管制サービス料など4億3000万ドル相当の還付・免除を決め、ニュージーランドは航空会社に5億8000万ドルの融資を行うなどの支援策を発表している。また、シンガポールはチャンギ空港使用料の払い戻しなどに8200万ドルを割くとしている。

 IATAは航空業界が受ける影響を試算しており、3月5日付で20年の全世界の旅客収入は前年比1130億ドル減と予測していた。しかし、日々深刻化する現状を受け、24日には2520億ドル減に下方修正した。さらに31日には、6月までに現金準備額610億ドルを使い果たし、通期の純損益が390億ドルの赤字となる可能性を示唆した。ただ、予測はあくまで世界的な渡航制限が今後3カ月間続き、旅行需要の回復が今年後半に始まると想定したものだ。

 20年旅客収入を地域別に見ると、アジアが880億ドル減と最大のマイナス幅。欧州(760億ドル減)、北米(500億ドル減)と続く。