能登半島地震、北部の被害全容見えず 順調な観光回復のさなか 南部はキャンセル多数

2024.01.15 00:00

 宿泊客がコロナ禍前を上回る水準にまで回復が進んでいた石川県をはじめ北陸地方を1月1日、大地震が襲った。最大震度7の地震と津波に見舞われた能登半島では、輪島市や珠洲市など、和倉温泉(七尾市)以北で被害が大きく、1月11日時点でも連絡が取れない宿泊施設が多く全容が見えていない。県南部は営業が可能だが、宿泊のキャンセルが相次いでいる。

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)が石川県の旅館組合から得た情報によると、山代温泉(加賀市)など、金沢市から南のエリアは一部で断水はあるものの営業はできる状況という。ただ、断続的な余震の影響でキャンセルが多く発生し、今後の風評被害の拡大が懸念されている。

 観光庁の宿泊旅行統計で、石川県の昨年10月の延べ宿泊者は87万8000人泊でコロナ前の19年同月を10.5 %上回った。外国人が23.2%増と伸びをけん引し、客室稼働率は67.2%と全国で7番目の高さ。隣接する富山県などもコロナ禍からの観光の回復が進んでいたが、地震が奪う格好となった。

 国土交通省の調べでは、1月11日時点で石川・新潟・富山県内の観光施設62軒でガラス破損等の被害があり、宿泊施設では石川・新潟・富山・福井県の計90軒で外壁・内壁や配管の損傷など被害があった。ただこれらはあくまで確認できた一部にすぎない。

 和倉温泉では加賀屋がグループ4施設の当面の休業を余儀なくされた。加賀屋は観光客に奥能登まで足を延ばしてもらい地域一体の活性化を図ろうと、着地型観光プログラムを昨春に開始。地域の事業者と共に取り組んでいるさなかだった。現在、建物のほか周辺インフラにも甚大な被害が生じ、復旧が見通せないでいる。

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