山梨中央銀行が観光促進事業 JTBと連携 旅行業登録も視野

2023.11.13 00:00

 山梨県内唯一の地方銀行である山梨中央銀行は、地域の魅力ある人・場所・体験などを観光資源として掘り起こし、国内外の観光客に販売する事業を開始する。観光価値創造業の旗印の下、県の主要産業の1つである観光産業が抱える課題の解決と新たな収益基盤の確立に取り組む。

 手始めとしてJTBと連携し、訪日客向けの観光コンテンツや国内の教育旅行を販売する。11月7日から、JTBが河口湖駅近くに新設した観光交流拠点「Tourist Base Kawaguchiko」の事業に参画。同行が開発した観光コンテンツの販売や、取引先から集めた地域産品のPRと販売を行う。

 教育旅行では、金融関係の資料を展示するために同行が開設した山梨中銀金融資料館の見学や金融教育セミナーなどをパッケージ化。金融リテラシー向上を目的としたプログラムとして、24年4月以降、学校に販売する。

 山梨県は国内観光客の78%が日帰りで、訪日客の81%が富士・東部北麓地域に偏る。宿泊日数も1.1日と短く、観光消費額が伸び悩んでいる。

 事業開始の背景には金融庁による監督指針の変更がある。地域活性化に資する新規事業に関し、銀行業高度化等会社の設立を前提に準備段階として実証実験を行うことが可能になった。採算性などを検証しながら、将来的に旅行業登録を取得し会社設立を目指す。

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