観光のGDP寄与額、日本4位 海外旅行者支出わずか0.7% G20参加国中最低

2022.09.19 00:00

 世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)の調査報告によると、全世界のGDP(国内総生産)に対する21年の旅行・観光産業の寄与額は前年比21.7%増の5兆8120億ドルとなった。全GDPに占める割合は0.8ポイント上昇し、6.1%に回復した。ただ、国際的な往来の制限が影響し、19年(9兆6300億ドル・10.3%)に比べると依然大きな差がある。国別では米国が1位を堅持し、日本は中国とドイツに続いて4位だった。

 調査はオックスフォード・エコノミクスと共に世界185カ国・地域を対象に実施。寄与額には旅行者の直接的支出のほか、間接的、誘発された影響、政府投資が含まれる。過去の寄与額の算定が変わり、昨年までの調査で3位だった日本は4位に位置付けられ、順位に変動がなかったことになる。

 日本は2063億ドルでGDP に占める割合は4.2%。国境の再開が遅れ、観光消費のうち海外旅行者の支出が90.8%減少し、シェアはわずか0.7%。G20参加国中で最低値だった。

 米国は1兆2712億ドルで群を抜く。中国は8143億ドルで、コロナ前はトップに迫る勢いだったが大きく水を開けられている。国境再開の影響は海外旅行者支出ランキングの変化からも見て取れる。フランスが米国に代わって1位となり、上位10位のうち6カ国が欧州大陸。19年に10位圏内だった中国、タイ、日本、英国が外れた。

 旅行・観光産業の従事者は全世界で2億8900万人となり、前年から1800万人増えた。ただ、19年には3億3300万人が従事しており、この2年間で4400万人の職が失われている。WTTCは32年までに1億2600万人の雇用が生み出されると予測。そのうちアジア太平洋が64.8%を占め、中国とインドがけん引するとみている。

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