21年国際旅行者4%増もアジア減少 地域格差くっきり 滞在拡大で単価は上昇

2022.01.24 00:00

 世界観光機関(UNWTO)によると、21年の宿泊を伴う国際観光客数(到着ベース)は前年比4%増の4億1500万人となった(暫定値)。ワクチン接種が進み、出入国規制が緩和に向かったためで、2年連続の減少は免れた。ただし、新型コロナウイルス流行前の19年と比べると72%減で大きな回復には至っていない。地域によってもばらつきがあり、欧米が2桁増となった一方で、アジア太平洋は65%減と大幅に立ち遅れている。

 世界の回復を牽引した欧州は前年比19%増で、米大陸が17%増と続いた。19年比はいずれも63%減だが、ワクチン接種や国境政策に比例して着実に回復へ歩を進めた。これと対照的なのがアジア太平洋で、ワクチン接種率の低さや一部地域での国境閉鎖、厳格な規制が足かせとなり、マイナス幅は中東の24%減をも上回った。19年比では94%減と回復が進んでいない。

 国際観光支出額は微増の7000億ドル。19年1.7兆ドルの半数以下だが、旅行者数と比べて回復率は高い。滞在日数の拡大や料金の上昇などが影響し、1人当たり支出が15%増の1500ドルとなったことが押し上げ要因となった。鬱積していたペントアップ需要も一因とみられる。GDPへの寄与額は18%増の1.9兆円。

 22年は年明けからオミクロン株の感染が急拡大し、一部の国で規制が再び強化されている。先行きの不透明感が漂うが、UNWTO専門家パネルの調査では、観光専門家の61%が22年の見通しを良好と回答。国際観光客数は前年から30~78%増加する可能性があるとしている。ただ、19年水準に戻る時期は、24年以降との予想が64%を占め、昨年9月調査時の45%から悪化した。

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